世界三位のスタートアップ企業数!なぜインドの若者は、Google,P&Gを辞めてまで起業するのか?


先週は、インドでスタートアップビジネスを手掛ける斎藤さんのインタビューをご紹介させていただき、見知らぬ地で、勇敢に新たなビジネスを仕掛けている姿に刺激を受けられたのか、多くの方から反響をいただきました。
インタビューの中でも度々出てきた「スタートアップ」という言葉。最近では特に、ITスタートアップブームの影響もあり、耳馴染みがある言葉かとは思いますが、今、インドのスタートアップ企業が世界的に注目されていることをご存知でしたか?

人口増加、経済成長で近年注目を集めているインドですが、TIMES OF INDIAによると、インドのスタートアップ企業数は、なんと世界第3位。さらに、スタートアップ起業家のうち72%が35歳以下と若手の起業家が非常に多く、世界から注目を浴びています。
つい先日、インドのモディー首相が「スタートアップ・インディア」を掲げ、約1800億円を費やして企業を支援することを表明したばかり(2016年1月16日)。今後も、インドのスタートアップ熱は増していきそうです。
(http://www.slideshare.net/Tracxn/tracxn-travel-india-startup-landscape-feb-2015)
(インドのスタートアップ企業数の推移)

ここインド・グルガオンでもスタートアップは過熱しており、幾つものスタートアップ企業があると聞き、今回は、そんな若手起業家が集まるCo-working SpaceであるMoonligihtを訪問。能力とやる気と熱意にあふれるインド人起業家にお話を伺いました!

 

Moonlightとは?


Moonlightとは、起業家のためのコミュニティを提供している会社で、スタートアップ企業に共同オフィスを貸し出しています。Mukulさんが1年半前にこの事業を立ち上げ、現在はグルガオンのみで既に5つの共同オフィスを所有。40社ほどのスタートアップ企業が利用しているそうです。

オフィスの雰囲気は、いたってカジュアル。共有スペースでは音楽を流し、起業家たちがリラックスして作業できるようなスペースを提供しています。その他にも、企業ごと部屋が幾つもあり、プライベートと共有スペースが一体化した、非常にお洒落な空間になっていました。
土日では、子供向けのプログラミング教室を行うなど、地域交流や地域貢献にも積極的に関わっており、今後はインド全土、少なくともインドの主要都市全てに展開し、50拠点をもつことを目標に、インドのスタートアップ企業をサポートしていく方針です。


皆様リラックスした環境の中で、笑顔も多く、それ以上に真剣な眼差しで業務に向かっていました。
訪れたオフィスだけでも、15社近くの企業が入居中、全ての企業をご紹介出来ればと思ったのですが、インタビューに快く応えてくれた4社を以下にてご紹介したく思います。

インドスタートアップ【We Design it Studios

Aditi Guptaさん、Saswata Debnathさん

Website: http://wdistudios.com/

We Design it Studiosはどんな会社ですか?

建築、インテリアデザイン、グラフィックデザインを手掛ける会社です。注文を頂いて、デザインから出来上がり、入り口から出口まで、すべてのサービスを提供しています。現在は、私たちの他に2名いて、合計4名で会社を運営しています。まだまだ始めたばかりの小さな会社ですが、すでにいつくかのプロジェクトは進行中、オフィスの設計や学校の研究室のデザイン、個人宅のインテリアのデザインなどに取り組んでいるところです。

起業のきっかけを教えてください!

会社を立ち上げる前は、建築士として建築会社に勤めていました。その時の同僚が彼で、一緒にビジネスをするようになりました。会社にいたときは、他人のデザインを形にすることが多かったんです。デザインではなく、作る側をメインにやっていたので。しかし、自分で会社を立ち上げれば、自分のアイディアで、デザインをするところから形にするまで出来る、自分の本当にやりたいことや作りたいものを、自分の力でやり遂げられる。そういった想いを背景に独立を決意しました。

お二人の数年後の展望を教えてください!

まずは、組織を大きくすることです。僕たちは、「人々に価値を与える」ことを目標に仕事をしています。ただ、インドは法的な手続きが複雑だったり、何かと必要書類が多かったり、手間のかかる作業が多い。せっかく起業したのに、そういった作業に時間をとられて、自分が提供したいものに時間を割けないのは勿体無い。そのため、会社を大きくし、組織として大きくすることで作業効率を上げ、自分たちのデザインをより多くの人に提供できるようになりたいと思っています。

建築士として会社で働いていた、AditさんとSaswataさん。あえて安定した生活を手放して、自分たちで起業。リスクもある中、「自分のやりたいことができている」と自信をもって話していらっしゃいました。ビジネスも順調のようで、今後の活躍に期待です。

インドスタートアップ【Joosworks

Girish Mehtaさん - Yogurt

Website: http://www.joosworks.com/

Yogurtはどんなサービスを提供している会社ですか?

プレディクションソフトウェアを提供しています。プレディクションというのは、ウエブサイトやアプリの一定期間の分析データをもとに、今後の訪問者数やダウンロード数を予測する機能のことで、弊社はプレディクションのソフトウェアを開発・販売しています。現在、既に一定数の企業にトライアルを使用いただいており、何件かは受注に繋げられそうです。今後、そのソフトウェアを翻訳して、日本やイギリス、アメリカなどの企業に売り込んでいく予定です。実は、日系企業からも既にお問い合わせが入ってきています。

起業のきっかけを教えてください!

MBA修了後、IT系大手に就職、直近はAdobeにて数年間テクニカルライターとして、テクノロジーについての様々な記事を書いていたのですが、その中で、ウェブ上には多くの問題があることに気づいたんです。そこで、そういったウェブ上の問題を解決するビジネスを自分でやろう、と思い立ったのが始まりです。それに、会社員として働くより「自分で何か大きなことをしてみたい」という気持ちが強かったのもありますね。

今後の展望を教えてください。

商品の改善と市場調査ですね。まだ開発したばかりのアプリなので、これから性能の改善を進め、さらにお客様に喜んでいただけるアプリにしたいです。また、インド企業だけでなく外資系の企業にもサービスを広げていきたいので、マーケットの調査も重要だと思っています。

最後に一言

比較的低コストで始められるのがソフトウェア開発ですが、もうすぐ企業相手に受注に繋げられそうだというGirishさん。今後外国企業向けにも売り込んでいくと、非常にワクワクした様子で話してくださいました。自分で作ったサービスが企業に評価されて受注につながる喜びは、自身で起業から携わっているぶん大きいのでしょうね。起業家のエネルギーの強さを感じました!

インドスタートアップ【Adruple Digital

Manoj Yadavさん

Adruple Digitalのサービス内容を教えてください。

ケーブル会社に、よりよいカスタマーサービスを提供するためのビジネスソリューションを提供しています。一般的に、アメリカをはじめとする先進国では、テレビの電波を送ったりするのにケーブルが主流ですよね。にもかかわらず、インドでは未だにワイヤーが主流。

ケーブルのほうが早くて安定した信号を送れるのに、ケーブル会社はシェアを伸ばせていないのが現状です。なぜなら、ワイヤー会社のほうがインドでの歴史が長く、カスタマーサービスのシステムがしっかりしているからなんです。

そこで弊社は、ケーブル会社に対して、カスタマーサービス向上のためのプラットフォームを提供しているんです。弊社が作ったアプリを使えば、ケーブルユーザーは、電子チケットの発行、支払い、トラブルシューティングなどのサービスをオンラインで受けられます。

起業のきっかけを教えてください!

以前は、ヘルスケアの会社のテクノロジー部門で働いていました。スタートアップに携わったのは、今後の可能性に強く惹かれたからです。すでにそこそこの規模の会社で働くより、今はまだ小さいけれど今後大きくなる可能性の高いスタートアップで働くほうが、将来的には自分の手でより大きなことができると考えています。

最後に一言

ケーブル会社にサービス向上のためのツールを提供しているManojさん。これから自分の手で大きなことをしたいと語っていましたが、ケーブルの普及に関わるビジネスには確かな可能性を感じている様子。また同時に、インド人の生活の向上に貢献できる仕事なので、やりがいと自信をもっていらっしゃるようでした。自分のビジネスで、母国が抱える問題を解決できるというのは素晴らしいことですね。

インドスタートアップ【Salosa

Piyush Dhanukaさん

Website: http://www.salosa.com

Salosa は何をしている会社ですか?

Salosaは、お客様に「自宅で受けられるプロの美容サービス」を提供している会社です。お客様がオンラインで予約すると、スタイリストが自宅を訪問しサロン品質の美容サービスを提供します。
弊社は独自のプラットフォームを持っており、ヘア、フェイシャル、ネイル、マッサージなど幅広い分野において、多数のスタイリストの方にご登録いただいています。登録していただいているスタイリストは、サロンで働いていた女性や個人専門で美容サービスをしていた女性で、登録前には面談やスキルチェックをしているため、質の高い美容サービス提供できます。

また、弊社は美容商品の倉庫ももっており、お客様がオンラインで商品を予約すれば、その商品を自宅で、しかもスタイリストの手によって試すことができます。

起業のきっかけを教えてください!

以前は、P&GとGoogleで働いていました。現在は3人で会社を経営しているのですが、もう一人はP&GとNIKEで、もう一人は中規模の会社でITソリューションの仕事をしていました。

起業のきっかけは、前職を通して、解決したい問題とそれを解決するためのビジネスモデルを見つけたのが最大の理由です。インドの起業家が注目されていると言いますが、起業家というと男性ばかりで、「女性の起業家が少ない」ことに問題意識があり、今のビジネスモデルならその問題解決につながると考えています。サロンに行く時間のない女性たちに質の高い美容サービスを提供すると同時に、弊社のプラットフォームは、スタイリストの方たちに自分のお客様を獲得するチャンスも提供しているからです。

大企業を辞めて起業すると驚かれることも多いですが、大企業で働いているうちに起業するスキルが身についたし、前職の会社から自分で会社をやっていくスキルを教えてもらったといった感じですね。それと、インドで起業すれば「母国の経済成長に貢献できる」というのも大きかったですね。


 

今後の目標を教えてください!

これから取り組んでいきたいことは主に3つです。

1つ目は、企業と提携を結ぶこと。これはすでに動き出しているのですが、企業に福利厚生の1つとして、オフィスでの従業員向け美容サービスを提供させてもらえるよう交渉しています。従業員がオンラインでサービスを予約すると、就業前や休み時間、就業後の飲み会前などにスタイリストによる美容サービスをオフィスで受けることができる、というものです。もうすぐで受注ができそうなところまできています。

2つ目は、女性の社会進出の支援。将来的には、弊社にご登録頂くスタイリストのためのアカデミーを設立したいと思っています。スタイリストとして手に職をつけ、働ける女性を増やすためです。

3つ目は、美容品の販売網の確立。今のプラットフォームを活用して、美容品の販売も増やしていきたいです。
最後に、事業範囲の拡大です。インド中の大都市でサービスを展開できる規模にまで成長したいと思っています。その次は海外ですね。

最後に一言

誰もが知っている大企業をやめて起業したというPiyushさん。女性の社会進出が進むにつれ、サロンに出向く時間のない忙しい女性が増えたところにビジネスチャンスを見出したそう。女性の社会進出と母国の成長に同時に貢献できると、やりがいをもって仕事をしていらっしゃいました!

 

まとめ

今回5名のインド人起業家にお話を伺いました。突然インタビューを依頼したにも関わらず、みなさんとても気さくに活き活きと自分のビジネスについて語ってくださいました。

今回インタビューした方全員が、前職での安定した仕事を思い切って辞めて起業しているわけですが、中でも自国の抱える問題を発見しそれを解決すべく起業した、という熱い思いをもった起業家が多く、起業家のエネルギーの強さを感じました。モディ首相のスタートアップ・インディア政策も追い風となって、今後もインドのスタートアップ業界は加速していくこと間違いなしです!

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