【海外就職】企業の成長の鍵は、ヒト!幹部クラスの勝負の採用の本音は如何に?

今回Paletteでは、これまで行ってきたインタビュー形式とは違い、企業内の採用側と候補者側の両方にインタビューを行いました!

2015年に産業用のエアコンプレッサーの販社会社として現地法人化したKobelco社Managing Directorで、お酒とラグビーをこよなく愛し、インドに根付く企業作りに日々奔走中の岡田省三さん。営業を天職と思うコンプレッサー畑15年の同社Senior Sales Managerで、禁酒・禁煙主義だが、お酒の場には積極的に参加し、日本人的なコミュニケーションで組織を盛り上げるグンジットさん。今回はこの二人にお話を伺いました。

 

インド企業の採用事情の本音とは?

では初めに、企業概要についてお聞かせください。

弊社は産業用のエアコンプレッサーの販売会社です。これは製造業の工場では欠かせない機械で、自動車関連はもちろん、農業、繊維やガラス系の製造業を中心に提案しております。2012年から日本人をひとり置いて市場調査などを始め、2015年の9月にインド法人を設立しました。今ではグルガオン、ムンバイ、チェンナイ、プネに拠点を構え、数年以内に生産開始も視野に入れています。

今の事業のご状況は如何でしょうか?

市場規模は年間約12,000台の新規需要があると言われている中、弊社のシェアは今時点では数%に留まっておりますが、昨年対比の成長率は著しいです。顧客の9割がローカル企業のため、重要なのは優良な代理店との契約を結ぶこと。お陰様で、北部や西部では順調、南部も軌道に乗ってきたところです。

コンプレッサー自体は汎用品で差別化することが非常に難しいのですが、品質や性能を第一に提示していくことで、徐々にではありますが顧客の信頼を獲得しています。競合他社も極めて強敵で、欧米の企業3社やローカル企業1社を筆頭に無数の競合と戦っているわけですが、ある企業はシェアの4割以上を持っていますし、またある企業は100年の歴史を持つ。それらと比べると弊社は圧倒的に若い。今はまだまだ販路拡大に専念し、ブランド認知に努めるのが先決という判断でいますね。

そんな中、なぜ今回、重要なポジションにインド人を充てることになったのですか?

そういった状況の中、インド市場を熟知した人材がどうしても必要でした。また、ブランド認知がされていない状況でモノを売るには、マーケット内でのその人の信用力が不可欠です。市場調査の段階でも、実務を進めていく上で代理店の存在や、顧客開拓の手段などが重要ということが分かっており、まさに企業戦略から一緒に作っていけるコンプレッサー畑の熟練者が必要という結論に至りました。

実際のグンジットさんはいかがでしたか?出会いから今までをお聞かせください。

正直、最初は生真面目すぎる方だな…と、これが素直な第一印象でした(笑) ただ、彼の誠実さやビジョン、自分が今後どうしていきたいかなどを、面接で発する言葉の一つ一つから、自分にはないものを持っているし、信頼できる人間だなと確信出来たのです。加えて、前職も大きな組織でしたので、組織人としての認識や働き方も兼ね備えていた点が良かったです。

実際、本当にグンジットさんを採用し、良かったと日々感謝しています。彼はある意味日本人的で、たばこも吸わないのにそうした場でコミュニケーションを取ろうとしたり、酒も飲まないのに少し付き合ってみたり、日本人スタッフを立てたり…人間的に本当に優れています。もちろん仕事の面でも、同業の名だたる企業で経験を積んできたという実績がありましたが、彼がその経験の中で築き上げてきた代理店や顧客との関係性は各所で役に立っています。社内システムの整備や構築を主導で進めてもらってますし、大きな決断の際には互いに意見を出し合い、日々足並みそろえてやっています。嬉しいことに既存の概念にとらわれない発想を持っており、新しいことをどんどんしていくには適任だと感じます。これからは下につくメンバーも増えていきより組織を束ねていく幹部候補になると確信しています。

採用において苦慮した点、JACへの感想は?

採用に当たって“信用”できるかという点を大事にしていたので、結局は候補者との対話を通じて、言葉の一つ一つから判断するほかなかったのです。グンジットさんに限っては言葉の一つ一つが屈託のない、心のこもったものだった。それに尽きます。JACの担当者は事務的でなく、我々の事を想って、ひたすら連絡やアドバイスをくれたのが良かったです。

 

インド人候補者の本音とは?

まずは、グンジットさんについて教えてください。

一貫して今まで15年間、コンプレッサー業界に身を置いており、Kobelco compressorsに入社する前に3社で経験を積みました。特に前職は9年半と長く勤めましたが、最初はジュニアマネージャーからのキャリアでした。デリーやジャイプールを拠点に、今の活動の糧にもなっている販路の開拓や顧客との関係構築をしてきましたし、その中で戦略を描くとは何か?どのように成長していくか?という考え方や動き方を体に染み込ませていきました。今もそうですし、2社目の時に改めて気づいたことですが、私は本当に営業が好きなのだと思います。より多くの人とお会いし、話をし、関係を築き上げていくことが私にとってのモチベーションの源泉なのだと日々感じておりますね。

そのような経験をされた上で、KOBELCOに入社された経緯を教えて頂けますか?

前職では、北部エリアの営業責任者という立場に留まっており、より大きな責任のもと様々なプロジェクトや事業を自ら手掛け、進めたい、そんな想いが強くありました。さらに言えば、そうした幅広い経験を通して、自身の引き出しをより一層増やしたいという想いもあったのです。Kobelcoがインドの市場に進出してくるという話は風の噂で聞いてはいたのですが、具体的にJACからお話を頂くまではどういった企業であるかやどんなことをするかまでは、全く知りえていなかったというのが当時の状況ですね。

入社を志望したのは、インド市場を開拓するまさにその時であり、Kobelcoブランドの市場導入を通して新しいことにどんどんチャレンジできると感じたからです。前職は大企業で安定もしていましたが、大きな組織故に自身のその先のキャリアが見えない…そんな考えが当時はありました。ですので、例え得たいの知れない新規企業だとしても、挑戦を通して成長をしていくこと、それが何を差し置いても重要でした。

入社後の印象はいかがですか?

スタートアップ企業としての業務上の戸惑いはもちろんありましたが、それは2ヶ月ほどで慣れました。日系企業での就業ははじめてでしたが、そうであったからこそ事前に文化の違いや働き方の違いなどを理解しようと思い、読書などを通して勉強には勤しみました。もちろん、少しばかしの日本語も覚えましたよ。実際入社してからも、特に戸惑いもなく今まで過ごして来れました。もちろん、考えや意見の食い違いや、認識の違いから起こる小さな問題などはあります。ただ、そうした時でも岡田さんや小川さんは敬意を持って、立ち止まって一緒に考えてくれます。だからこそ、私も毎日お二人とはコミュニケーションを取るようにし、互いの理解を深めることはもちろん、仕事の上での認識の違いなども最小限にするよう努力はしています。

ここを選んだことを後悔しているか?と聞かれると、「一切ない。」と胸を張って言えます。まだまだ無名で、規模も小さく、インド市場への新規参入で…という状況は、十分に知った上で決意したわけですし、その中で挑戦できること、成長できることに期待をして入ったので、それは当たり前といえば当たり前です。日々すべての仕事にやりがいを感じておりますし、それを支えてくれるのは数字でもあり、環境や機会そのものでもあるのです。

 

最後に、インド市場での今後の目標をお聞かせいただけますか?


まずは、Kobelcoブランドを一人でも多くのお客様に認知していただくことであると考えており、そこから徐々に、マーケットシェアを伸ばしていければと考えております。今はトップの企業が市場シェアの4割を握っており、方や弊社はまだまだ数%ほどです。ここから5年ほどで10%には伸ばしていきたい考えています。そこまでのシェアを獲るには生産拠点をインドに設けることが必須です。

先に申し上げた通り、私が担っていくのは、インド市場をいかに攻略していくかという戦略を導き出すこと、また、一人でも多くの顧客との関係を築き上げていくことです。こうした一つ一つの積み重ねを結果に繋げていくことで、達成できる目標であると感じておりますので、これからも挑戦と努力を重ね、一歩一歩Kobelcoと共に歩んでいきたいと思っています。

 

編集後記
会社設立時にヒトに大型投資をするのは、ためらってしまうこともあるかと思いますが、いかに企業の成長にヒトが重要か…ということを話を聞けば聞くほど思い知られました。Kobelco Compressors のオフィスの皆様はグンジットさん以外も仕事と会社に誇りをもって楽しそうに働いており、日本人側から壁を壊して一緒にチームを作っていく姿は是非見習いたいです。お互いを尊重し、コミュニケーションを密にとるという一見簡単そうでなかなかできないことを徹底すること、大事にしていこうと思います。

 

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