国民に愛され続けるボリウッド映画とは?映画にもマサラスパイス投入?!


インドで暮らしている人は、休日はどんなことをして過ごしているの? 長期的にインドでの生活を計画している人にとっては、このような点は素朴な疑問として浮かんでくることでしょう。インドで生活する日本人の多くはショッピングを楽しんだり、ゴルフに行ったり、友人とカフェでまったりしたりと日本とそう変わらない休日を過ごしていますが、「せっかくインドにいるのだから少しくらいインド文化も味わいたい!」そんな人にオススメするのが「映画館」へ足を運ぶことなんです。

本日はそんなインドの映画事情について、国民にも愛されているボリウッド映画をメインにその特徴から実際の映画館の様子、インド人に直接聞いたオススメ映画までをご紹介します。

よく耳にするボリウッド映画とは

ボリウッド名前の由来

「Bollywood Movie」「ボリウッド映画」とは北インドを中心にインド全土で上映されているヒンディー語の映画のことをさします。主な制作地となっているムンバイの旧名「ボンベイ」とアメリカの「ハリウッド」をもじってそれらの映画を総称して「ボリウッド映画」と呼んでいるのです。インド映画全体のことをボリウッド映画とさすのではなく、ヒンディー語で制作されているもののみという点が意外と知られていない部分です。ちなみに、インドでは約37もの言語で映画が制作されていて、ヒンディー語以外にタミル語圏は「コリウッド」(Kollywood)、テルグ語圏とベンガル語圏は「トリウッド」(Tollywood)と呼ばれるなど、「ボリウッド」を筆頭に「ハリウッド」をもじった各言語圏の呼称があります。


Film Cityと呼ばれるボリウッド映画撮影セット‐大きな都市にはこのようなセットが設置されている(写真はバンガロール)

制作本数世界No.1

では、インド国内の映画産業はどうなっているのでしょう。ボリウッド映画の歴史は、なんとトーキー(サイレント映画)時代の1913年にまで遡ります。その歴史100年以上。2015年インド映画産業は世界映画興行収入ランキング(北米を除く)によると、中国(68億ドル)、イギリス(19ドル)、日本(18ドル)に次ぐ第4位(16億ドル)を記録していて、今後も毎年10%以上の伸びが見込まれ、2020年には27億ドルに達すると予測されています。インド国内でいかに映画産業が活発であるかが見てとれます海外の比較から見て取れますね。

また、インドの年間映画製作本数は1724(2013)と世界でトップを誇っています。この1724本という数字、2013年に世界全体で7610本の映画が制作されているうちの、約23%を占めているのです。アメリカの738本が10%ほどなので、インドがどれだけ世界の中でも相当な数の映画を制作しているかが見てとれます。背景には、映画が主要な娯楽として国民に愛されてきた歴史に加えて、インド国内の映画製作体制が整っているということも挙げられます。映画の制作会社数は400社を超え、映画に対する外資の出資制限もないため、近年の映画づくりに不可欠なデジタルや3D技術、高精細処理等に対応可能な高度IT人材が充実(その数300万人以上)しているという理由があるそうです。

海外でも誇る高い人気

1950年代のボリウッド黄金期以降、インド国外でもボリウッド映画の認知は大きく拡大してきています。その大きな理由となっているのが、海外に在住しているインド人の増加です。特に南アジアや中近東を初め、東南アジアやイギリス、オーストラリア、アメリカなどインド出身の移民が多い国では頻繁に上映されるなど、人気も高まる傾向にあります。また、ボリウッド映画は歌や踊りが入った娯楽性の高さ、字幕なしでも楽しめるストーリーのわかりやすさ、ハリウッド映画より安い権利料といった特徴があり、これらも海外でボリウッド映画の広まっていくのを助けている理由となっています。

 

実際に行ってみた、インドの映画館はこんな感じ

映画館の様子


実際にグルガオンにある映画館を訪れてみました!日本の映画館とそうシステムも館内の様子も変わらないというのが最初の印象です。日本同様チケットを購入し座席を選び、ポップコーンを片手にいざ館内へ!映画館の入り口で厳重な荷物チェック(特にカメラや携帯電話)があるというのが、日本よりも徹底されているといった印象です。

映画館の多くはショッピングモールやデパートに入っていて、日本同様ひとつの映画館が複数のスクリーンを備えている複合型の設備になっています。このような映画館は、2015年時点でインド国内で2100施設に及び、まだまだ田舎では少ないですが2009年の925施設から倍以上と急速に増えています。インドで映画館の多くを占めるのは黄色いロゴが目印のPVRという名前のシネマコンプレックスです。その他にも、DT CINEMASFun Cinemas3C’sといったシネマコンプレックスもあります。

価格と上映時間

チケットの価格は映画館や作品よって異なりますが、1本約200500ルピー。同じ映画館でも時間や、チケットを購入する人数によって異なるようです。(人数が多いと割引が適応される)

上映時間に関しては日本同様に、事前にインターネットを利用して調べることが可能です。映画館のHPを訪れると下のように映画の放映スケジュールが表示されているので事前にチェックしてみて下さい。


気になる映画の開始時間ですが、私が訪れたときにはだいたい時間ちょうどにスタートしました。映画の前に日本同様約20分ほどCMが入り、その後映画がスタートするような形でした。インドで映画を見るには欠かせない字幕に関してですが、最近は英語字幕を載せている映画も増えてきています。また、ヒンディー語だけでもストーリーがとてもわかりやすいので、字幕なしでも十分に楽しめるとの声もよく耳にします。

また少し驚いたのが映画が始まる直前に、観客全員が立ち上げって国家を歌い始めた点です。事前に少し聞いていた慣習ですが、実際に目の前にすると圧巻でした。

国歌斉唱に始まり、映画の長さは約3時間。途中で20分ほど休憩が挟まれるので、合計すると1本の映画を見るのに約4時間くらいかかるということになるでしょう。

インドでは常識?マサラムービーとは

インドでの映画鑑賞の仕方はどのようなのでしょうか。よくしゃべり、突然踊りだす…、そんなインド人のイメージは映画を見ている場面でも同じです。日本のように静かに映画鑑賞するというのとはほど遠く、映画に合わせて観客も歌うや踊るや、泣くわ笑うわと、映画と一緒に声を出して、時には大きな声で笑いながら映画を鑑賞するのです。映画館という同じ空間にいて映画を見ているだけで、インド人の国民性を垣間見ている気持ちになります。

また、インドの映画は1本の映画の中にナヴァ・ラサと呼ばれる9つの感情、色気(ラブロマンス)・笑い(コメディー)・哀れ(涙)・勇猛さ(アクション)・恐怖(スリル)・驚き(サスペンス)・憎悪(敵の存在)・怒り(復讐)・平安(ハッピーエンド)が放り込まれていると言われています。これらの感情に歌と踊りを織り交ぜながら映画が作られています。このころころと変わる感情や表情が織り交ぜられたインド独特の映画を、ミックススパイスを意味するマサラという言葉を使って、マサラムービーと読んでいるそうです。映画館に一度足を運べば、このマサラムービーとそれに合わせて感情豊かに映画を鑑賞するインド人に思わず笑いがこぼれてしまうことでしょう。

 

インド人に聞いた!オススメのボリウッド映画5選!

ではそんなボリウッド映画、インド人に直接聞いたオススメのものを5つご紹介します!

Dangal


世界チャンピオンを目前で逃した父には子どもにレスリングチャンピオンになって欲しいという夢があった。しかし、生まれてくる子はみんな女の子。夢をあきらめた矢先、娘たちの身体能力の高さとレスリングの才能があることに気づいていく。インドで初めて、女子レスリング選手として世界を目指していく父親とその娘を描く。

現在映画館で放映されている大人気の一作!日本で言えば佐藤浩一のような?インドで大人気の俳優アーミル・カーンが主演。2010年世界チャンピオンに輝いたインド女子レスリング選手の実話をもとに作られた作品。

Taare Zameen Per (地上の星たち)


想像力豊かな主人公の少年は、その感性故に周囲とトラブルを起こし、遂に父親によって寄宿学校へと入れられてしまう。家族に捨てられた思いで沈み込む彼の前に突然現れたのは新任美術教師。彼は少年がディスレクシア(失読症)であることとそれとともに持つ素晴らしいある特異な才能に気づく。

少しお金がかかっても子どもたちひとりひとりに合った教育を受けさせるべきだと、そんなことを思わず考えてしまうような作品。日本でもすでに人気を誇っている作品のひとつ。

Mary Kom


インドの小さな村で生まれ育ったメリー・コムは幼いときからボクシングに惹かれ高校生のときに父親に内緒でボクシングを始める。みるみるうちに頭角を表し、インドでも有名な女子ボクサーとなっていくが…。5回も世界チャンピオンに輝きながらも、父親との関係や恋愛、ボクシング界との不仲などいろんな問題が現れてはそれを乗り越えていく。

近年インドで人気を集めるスポーツが題材の映画の代表作。

Airlift


1990年。クウェートで会社を経営し、順風に家族と優雅な生活を送っていたインド人の主人公。彼の生活は、イラク軍のクウェート侵攻により一変する。他のインド人を見捨てて家族とともに母国へ戻るのか、このままクウェートで生き続けるのか。彼は自らクウェートに取り残された母国の人のために生きることを選ぶ…

海外で働き、生きるインド人在住者の葛藤や苦労を描いた作品。昔からインドと中東の結びつきは強く、本作のように多くの人が国を越えて働きに出ていた、そうい背景を映し出している。

3 idiot (きっとうまくいく)


インドのエリート大学ICEので友人たちと青春を謳歌(おうか)していた主人公は大学卒業後、突然姿を消してしまう。それから10年友人たちは彼の消息を知らずに過ごし続けていた。そんなある日、彼から1本の電話がかかってくる。主人公の失踪の謎を解き明かしていきながら、3人で過ごした大学時代の日々が回想される。

真の友情や幸せな生き方や競争社会への風刺を描いたヒューマン・ストーリー。コメディーを装いながらも単なるバカ映画ではなく、3人の人生の苦渋を描く。日本でも多くのファンを集め続けている大人気の作品!

 

まとめ

休日に映画館を訪れると、多くのカップルや家族連れで映画館は賑わいを見せています。そんな様子からもボリウッド映画が国民に愛され続けている娯楽であることがみてとれます。インド国内ではもちろん、世界の中で見ても活発なインドの映画産業。これからますます、デジタル化やオンラインの発達により、映画へのアクセスが容易になりボリウッド映画の認知も、海外での人気も高まっていくことでしょう。また、あのレディ・ガガやブラッド・ピットが出演を希望しているというのですから、観客だけでなく、作り手からの熱視線も創造できること間違いなしです。

インド滞在者もインドにこれから訪れる人も、インドで暮らしながら、インド文化も同時に知りたい、そのような方には是非とも映画館に行ってみることをオススメします!ニューデリーやグルガオンでは15分歩けば2件くらい映画館を見つけられる、そのくらいに映画館の数も増加してきています。ぜひ、インドで生のボリウッド映画を見て、今後のインド映画の波に一足先に乗ってみてはどうでしょうか!

出典:

グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト

日本で唯一のボリウッド専門情報誌

PVR CINEMAS