渋谷で営業マンの日々から、インドでマーケッターになるまで!


InfoBRIDGE Indiaで働く福井様。インドでのお仕事、生活を心から楽しんでいらっしゃるというのが、表情、そして福井様のお話からビンビンと伝わってきました。大学時代に初めてインドに訪れた際には、一生行くかとまで思ったほど。そんな福井様がなぜインドで働くに至ったのか。その真相に迫ります。

インドなんか一生いくもんか



日本で働いていたときは海外と関わるお仕事をされていらっしゃったのですか?

新卒では大手生命保険会社に就職しました。第一志望は報道関係だったのですがご縁がなく、働くんだったら業界1位の会社が良いなと、入社しました。当時は国内担当の法人営業職だったのでスーツで渋谷を駆け回っていました、今じゃ考えられません。(笑)

海外と関わる仕事ではなかったのですが、長期休暇は海外に行く、積極的に海外のメディアに触れる、などしていました。というのも実は、大学は英文学科でその頃から英語や外国の文化には興味があり、ゆくゆくは海外で仕事がしたいと考えていました。きっと親は「アメリカとか、イギリスとかに行ってくれるんじゃないかな。」と期待してたと思うんですけど、私が選んだのはインド就職でした。

なんでまたインドに就職したのですか?

インドが好きだからです。他の候補はありませんでした。初めてインドに来たのは20歳の夏で、もう10年前。学生時代に国際NPO団体アイセックに所属していて、そのツアーに参加しました。当時の私はかなり受動的で、参加を決めたのも「先輩に誘われてなんとなく。まあ、行ったことないし。」というものでした。

大学に入ってから海外旅行はしていたのですが、先進国ばかりだったので、インドのようにカオスな国は初めてで。2週間弱で4都市を回るタイトスケジュールでお腹も壊しましたし、ぼったくりにも遭いました。最後の方は早く日本に帰りたい一心だったのですが、帰国後「あれ、なんかまたインド行きたい」と。また行きたい、ってこんなに強く思った場所が初めてだったんです。それほど良くも悪くも衝撃的な国でした。

それからインターンや旅行などで5回渡印し、ここで生活したいなと。よく新卒は3年働け、と言われていますが、私は2年で新卒で入った会社を退職しました。今でもこの決断は間違っていなかったと思います。「インドに行きたい」という気持ちを抑えつけて日本で生活するのは、自分にとってもその時の会社にとってもよくないことでした。

ご両親の反対はなかったんですか?

父親にかなり反対されました。新卒で大手企業で働いて、一応そこそこお金ももらえるし安定しているのに、私は「インドに行きたい行きたい」の一点張り。父親からしたら、正体不明のインドという国に、何で私がこんなに魅かれているのかわからなかったんでしょうね、「焦るな、とりあえず3年働け。」と酒を飲みながら説教されました。ただ、やっぱり自分の気持ちがその場にないのに、目的もないまま惰性で同じ場所にいるのは心身ともに不健康だと思い、親に内緒で転職活動をし、転職先を決めてから退職しました。

母親は最初から「自分の人生、好きに生きなさい」と良い意味での放任主義で協力的で、最終的には、父親が折れた感じでしたね。四年前に両親がインドに来てくれて、タージマハルとか一緒に観光して、いい国だねと言ってもらえました。高級ホテルとか、いいレストランとか「きれいなインド」を見せるのに苦労しましたが(笑)、「意外と住みやすそうなところなんだね。」と言ってました。

ディープなインドを隅々まで調査

巨大野菜マーケットの店頭調査を行う福井様


 

福井様が働くインフォブリッジはどのような会社なのですか?

日系企業のインド進出をサポートするコンサルティング会社です。インド人への家庭訪問や専門家インタビューといった市場調査であったり、インドで会社を作りたいですという日系企業のインド現地法人設立サポートなどです。調査は日本人だけではできませんので、インド地場のマーケティング調査会社と提携していてそこのインド人チームと一緒に仕事をしています。日本の本社からこういう調査をやりますよという企画書に基づいて、私たちは手となり、足となり情報収集をするという形です。

どのような業務を担当なさっているのですか?

お客様は日系企業ですので、日本人もしくは日系企業で働くインド人を相手に仕事をしています。彼らの窓口となり、インド人スタッフのチームと一緒に調査にあたっています。レポート執筆や調査同行など、日本側で受注した調査の肉付けとなる現地での情報収集が私の主業務です。

調査の中で私が一番好きなのは、家庭訪問調査です。提携先のインドのマーケティング調査会社がデータベースを持っていて、年収はこれくらいで、学歴はこれくらいで、こういう人たちの意見を聞きたいというお客様の要望に基づいて、そのデータベースから家庭を抽出してアポを取り、訪問します。一人では実施できませんので、これもインド人チームと一緒に行って、調査します。

自分の目で見て、自分でいろんなインドの雰囲気を感じることができるのは、貴重な経験だと思います。実際に家庭の中に入るというのも、調査会社でないとできないですからね。インド人の生活は面白いですよ。ここにこれ置く?というのがあったり、なかなかぶっ飛んだセンスを持っています。リビングに紫の巨大な置物がどーんっと置いてある家庭があり、「これは何ですか?」と聞いたら、「何とか教の何とか何とかだ。」と。宗教的にはありなんだと思いますが、日本人はこのリビングじゃ絶対落ち着かないだろうなと思いました(笑)。こういった、インドのディープなところにまで入り込んでいくことができるのがこの仕事の魅力ですね。

インドで働くにあたって大切にしていること、もしくは、何か心掛けていることはありますか?

違いを受け入れることです。日本の常識が通用しないインドでは、時間の概念、仕事への取り組み方の姿勢など、「えっ、まじ?」と思うことも多々あります。インド人に裏切られたことも数えきれません。今日までに送ると言っていた資料が届かない、やると言っていたのにやっていない、来ると言ったのに来ない。これらに一喜一憂していたら身も心も持ちません。

ある材料でなんとかする、最善のリカバリープランを考える、臨機応変に対応する、まぁ、つまりは動じないことです。最悪の事態になってしまう前に伏線を張っておくとか、余裕をみておくとか、それらをやったという前提で予想外の事態に遭遇した時に、その場でどう動けるか、が大事だと思います。

休日は愛犬に癒されつつもお酒は手放せない


愛犬の幸子ちゃん


 



福井様が働くオフィスの入ったビル

実際にインドに暮らしてみてインドでの生活はいかがですか?

インド生活6年目となり、そろそろ7年目も見えてきましたが、おかげさまで毎日楽しく生活できています。よほどインドの空気が自分に合っているんでしょうね。ジムもあるし、マツエクもできるし、日本人の美容師さんもいるし、日本食も食べられるし。デリー・グルガオンはインドの他の都市と比べるといろいろ充実しているなと思います。

休日はどのように過ごしていらっしゃるのですか?

チベット犬を飼っていて、その子と遊んでいます。日本への一時帰国や旅行に行くときは、今インド人とシェアハウスに住んでいるので、一緒に住んでいる子に面倒みてもらっています。4LDKの部屋でひとりづつ部屋があって、キッチンとリビングは共有しています。とても楽しいですよ。

この家に移る前は一人暮らしをしていたんですけど、ダメージがすごすぎて、ドアが壊れたり、ギザ(シャワーのお湯をためるタンクのこと)が動かないとかそうゆう修理も全部自分でやらなくてはいけなくて、修理会社に電話しても、ヒンディー語しかしゃべらない人とか、ちょうどオフィスにいるときにかかってくるとか、そうゆうのが結構煩わしかったです。

今は一緒に住んでいるインド人が、家のメンテナンスはほとんどのことをしてくれるので、かなり楽ですね。去年の夏にデング熱にかかったんですけど、入院したくなくて自宅療養を選んだんです。その時もシェアメイトが「チャイ飲む?」、「ぶどう食べる?」などこれでもかってくらいお世話してくれて。インド人は基本おせっかいで世話好きなので、こういう時にとても助かります。みんな独身アラサー女性で、働いていて、同じ境遇なので話題もつきません。日曜の夜はリビングに集まって、酒を飲みながら「明日から仕事だね。」、「頑張ろうねまた一週間。」と励まし合いながら、楽しく過ごしています。

インド人の方との生活で驚くこととかってありますか?

今のシェアメイトはそこそこのレベルの人たちなので、それほど意外なことはないんですけど。強いて言えば、我が家には冷蔵庫が三台あって、電子レンジが二台あるんです。

なぜかっていうと、べジ、ノンべジで分けるため。結構徹底的なんですよ。ベジタリアンの子に「福井このまな板でチキン切ったことある?」と聞かれて、「使ったことあるよ。」ていうと、「じゃあ使わない。」と。かなり徹底していますね。こっちからすると「チキン切ったけど洗ったよ。そこまで気にする?」と思うんですけどね。
彼女たちにとってはその子のライフスタイルだから、それが当たり前。ベジの子にノンべジを強要することもないし、逆にベジの子が私にノンベジ食べるのやめてとも言わない。あなたはあなた、私は私、そうゆう適切な距離があっていいなと思います。

あとは、洗濯機を使わないことです。手洗いなんです。IPhone6とか最先端なものやマイカーも持っているのに、洗濯機は使わないんです。きっと彼女たちの実家にも洗濯機はなくて、メイドさんが洗濯してるので、その風習を受け継いでいるんでしょう。洗濯機じゃ汚れが落ちないと思い込んでいる節もあります。こういった保守的な部分はたまにありますね。

インドに来て意外だったことって何かありますか?

日本人の横のつながりが強いこと。友達の友達はもう友達、というような。同じ出身地の人の集まり、同い年の集まりなど、結束が強いですね。過酷な環境で頑張っている人同士、励まし合える環境は素敵だなと思います。私はよく「福井ちゃんて悩みなさそうだよね。」とか、「インド生活楽しんでいるよね。」と言われます。大抵、「ありがとうございます、おかげさまで毎日楽しく暮らしております」と答えます。(笑)

一時帰国の時、前職時代の友人と会うんですけど、これもよく「インドに行って本当によかったんだね。」と言われます。日本で働いていたときはかなり強烈に負のオーラを放っていた気がします。今は、毎日楽しいですという感じで。本当にインドが自分に合っているんでしょうね。

インドなんかくそくらえだと思う日は来るのか


キッチン商品のテストマーケティングを行う福井様

今後のキャリアについてはどのようにお考えですか?

今が一番自分らしく働けていますので、日本に帰りたいとか、どこかほかの国に行きたいとか、インドの中で転職したいとかは思わなくて、インドのディープなところにもうちょっと身を潜めて、この会社で働いていきたいなと思います。うちのBOSS、怖いことで巷では有名みたいですが(笑)私はBOSSに惚れて入社しましたので、これからもこの会社で、インドと日本の橋渡しの一役を担っていければと思っています。

最後に、インド就職を検討している皆さんへのメッセージをお願いします。

やりたいと思ったらやることです。今はインターネットで何でも調べられる時代です。海外就職に興味があるのなら、こういうサイトを見るのも良いし、直接連絡したい人にはすればいい。

もし悩んでいるのであれば、その根源をつきつめることです。インドへの負のイメージ?年齢?安定した日本での生活を捨てるのが怖い?何が一歩踏み出そうとする自分を引きとめているのか。自分の人生、方向を決められるのは自分だけです。きちんと自分と向き合って決めた決断でないと、インドでうまくいかなくなった時、きっと人のせい、周りのせいにしてしまいます。自分のモチベーションは自分で管理できないと、どこに行ったって大変ですよね。

私が今毎日楽しく暮らせているのも、「インドが好き」という根っこの部分が揺るがないからです。インドが嫌いになったら日本に帰るんでしょうね。いつになるのかわかりませんが。

編集後記
とても楽しそうに常に笑顔でお話下さり、終始笑い声が絶えないインタビューでした。新卒入社した会社で悶々と働いていた日々から、自分のやりたいことを信じ、きっぱりと新卒入社した会社を退社。そしてインド就職に向けて行動し、思い切った決断をされた福井さん。自分の道は自分で切り開くしかないと改めて痛感しました。仕事面においても、生活面においても、インドのディープなところに身を置く福井さんの話を聞いていて本当にインドが大好きで大変充実しているというご様子がひしひしと伝わってきました。今後とも、明るい笑顔とインドへの愛をもって、インドと日本の橋渡しとしてのご活躍を期待しています。