インドで働く。それはインド人を変えるのではなく、自分が変わること!


世界の中心に位置するインド。とどまることを知らない人口の増加。もうじき中国を超えて世界一位に躍り出るとも言われています。また、世界の新たなハブ拠点としてもここインドが近年大注目されてきています。昨年モディ首相が就任し、メイク・イン・インディア構想を掲げ製造業を誘致したこともあってかインド進出する日系企業は1209社を超えました。それに伴ってこちらで働く日本人の数も増えてきているという状況です。しかし、私たちの想像するインドは過酷なインド。普通に働くことができるのか。実際にはどのように働いているのか想像することは難しいのではないかと思います。そのため今回は、ここインドで働く日本人にフォーカスし、彼らがどのような環境でどのように働き、どのような生活を送っているのかを明らかにしていこうと思います。そこでインドで働く日本人インタビュー第一弾として、Nidec India Private Limitedで働く水島様にインタビューさせていただきました。水島様のインサイトに迫ります。

 

「海外で働く」という選択肢

海外転職に至った経緯について教えてください。

大学院を卒業後、カタログ式の体験型ギフトを企画・販売するスタートアップで働いていました。その後約1年間、スタートアップの人材紹介会社でエージェントをしていました。この人材紹介会社は、10人程度の小さな会社で、私はクライアント獲得から、候補者のご面談まで一気通貫で担当、大手製造メーカーをクライアントとして、本社勤務、海外駐在もしくは海外事業に携わるグローバル人材をメインにご紹介していました。

自分のキャリアを考えた時、もともとは、「いつかは必ず海外で働きたい!」というほどの強い思いはなかったものの、「いつかは海外での仕事に挑戦してみるのもいいなあ。」とは思っていました。海外で働く魅力やその後のキャリアパスを知るうちにこれまでのキャリアとのつながりはないけれど、本当は気になっていた分野に思い切って挑戦してみたら、そして舞台を海外に移してみたら、自分のキャリアや仕事観の輪郭がはっきりするかもしれない、と思った矢先に、「現地採用」という選択肢を知り、まさに今自分が進みたい方向に後押ししてくれるのではと思い、応募してみることにしました。

もともと製造業には興味がありましたし、人材紹介エージェント時代のクライアントや候補者がメーカーだったことも大きく影響し、「質の高い日本の技術を身近な製品として世界中へ展開しているメーカーで働きたい」という想いがありました。そして、製造業で現地採用を挑戦するのは、キャリア面でも年齢的にも今しかないのではと思い決断をしたんです。

「海外就職 製造業」という切り口でいうと、東南アジアなどもあるかと思うのですが、なぜインドを目指されたんですか?

主に2つ理由がありますね。

.過去に行ったことがあり、住んでいるイメージが湧いたこと。
確かに、製造業という観点で言えば、インド以外にも、タイ、ベトナム、インドネシアなども盛んです。単なる旅行ではそういう国に行ったこともあったのですが、インドはなんとなくしっくり来た部分があったんです。1社目を退社し、2社目に入社する前の休暇で1ヶ月インドをバックパック旅行をしていて、言葉にするのは難しいですが、その時の記憶や感覚は忘れがたくて、自分が次どこで働いているかをイメージしたときに、インドで働いているイメージは違和感がなかったんですよね。

.労働コストが低く、ポテンシャルが高いこと。
製造業において、コスト競争力は最も重要な要素ですが、インドは他のアジア諸国に比べて労働コストが比較的安いとされています。たしかに他のアジア諸国に比べて、インフラの整備が整っていないという課題はありますが、それよりも何より「開拓する」、「ゼロからイチを作り出す」ということに関われることに魅力を感じましたね。

 

インド人へのリスペクトは忘れない

無事にインド転職を成功させた今、どういう会社で働かれているんですか?

今は、日本電産株式会社という総合モータメーカーのインド支社で働いています。代表的な製品は、車のエンジンクーリングやEPS部分のモータや、エアコンやパソコンなどの電子機器のモータや、実は皆様の身の回りにある様々な製品に使われています。昨年、社長兼最高経営責任者の永守がモディ首相と会談した際に、「今後インドに1,000億を投資して、インド全土に5工場をつくる」というミッションを掲げたんです。現在、私たちはそのミッションを元に、インド支社のトップである私の上司(日本人)と、1工場目の稼働に向けて様々なプロジェクトを進めているところです。

これまで少数精鋭のスタートアップで働いていたので、日本の本社を軸として世界中にある拠点のうちの1つで働いているというのは初めての経験です。入社直後は、関わる人の数やビジネスの規模に驚きの毎日でした。しかし、過去に働いていたスタートアップ企業と違う良さを知れたという意味で、過去のキャリアも、今の仕事も私にとっては、良い経験ばかりです。

水島さんの業務について教えてください。

今の私の業務は多岐に渡っていて、出張者のスケジュール調整から、プロジェクト管理まで、本当に様々な業務に関わらせてもらっています。今は、立ち上げ時期で、人員も限られているので、「何でも屋さん!」として、いろんなことのサポートに回っていますが、日々の業務から、最終的に自分の目指すキャリアを絞っていくという意味でも、なかなかいい経験をさせていただいています。

これはインドならではですが、商談の急な日程変更や、重要な会議に限って原因不明の交通渋滞に巻き込まれたりなど毎日アクシデントはありますが、そんな毎日はもう慣れましたね(笑)そういう問題を乗り越えた先に、「プロジェクト完遂」という壮大なゴールが待っていると思えば、目の前のことは些細なことと切り替えられるようになりました。日本でもインドでも世界中何処にいても、そういうハプニングは起こりうると割り切って精進してます!

そして幸いなことに仕事をする上でのストレスはほとんどないんです。確かに、インドでインド人とともに働く毎日なので、これまで日本で働いていた時には、意識していなかった、言語や宗教、文化の違いによる障壁はゼロではないですが、「インド人を変えよう」と思うくらいなら、みんながうまくワークするように自分が変わったほうが早いなと思ってます。そして、この環境下ではストレートに物事が言いやすく、そんなところも性に合っているかもしれないですね。思い通りに物事が進まなかったり、誤解、お願いしたことが忘れられていたりという日常の小さなハプニングを「いかに楽しみながら解決していくか」という視点で働いています。

インド人とのコミュニケーションは英語だと思うのですが、インド渡航前の英語レベルはいかがだったんですか?

私は、留学経験もほとんどなくて、英語を使うシーンは年数回の海外旅行くらいだったので、取り立てて英語力をつける機会がなかったのが正直なところです。ただ、旅行で知り合った友だちと連絡を取り合ったり、海外の映画を字幕無しで観たりなど身近な手段で英語との接点は持つようにしていました。

こんなことを言ったら、上司に怒られてしまいそうですが、インドで働くにあたって、英語に関する不安はなかったですね。気合の問題なので、現地に行ってしまえばどうにかなる!と思ってました(笑)実際、仕事をするにも、生活をするにも英語を話さなければいけないので、初めのうちは大変なこともありましたが、どうにかなりました。上司にも、入社直後よりだいぶマシになったと言われています(笑)英語はあくまでコミュニケーションの手段なので、根本的なことは真意が伝わることだと思っています。もちろん「ビジネスに適した表現」は身につけておくべきなので、今は、社長のビジネスメールやレターから、勉強してます (笑)

インドで働く上で大切にしていることは?

自分の常識が必ずしも正解ではないのを前提として、インド人へのリスペクトは忘れないことを心がけていますね。インド人のいう”one minute”は10分、” I will call you later”はまず電話はかかってこないので、自分から再度フォローします。インド人の人たちに、日本人の習慣、文化に全て合わせてもらうのは難しいので、日本人としての常識は捨てて接しています。

「違いを受け入れるのも海外で働く醍醐味のひとつ」と思ってます。なので、郷に入れば郷に従えではないですが、仕事をする上で、最低限守るべきところは守ってもらいつつ、彼らの意志もできるだけ尊重し、うまくバランスを取りながら仕事を進めていくよう意識しています。アクシデントが合った時は、自分の対応力、振る舞いを試されていると思っていますね。それを学びに来たのかなと思う部分もありますし。とにかく毎日がとても楽しいです!

 

休日は快適なインドライフを満喫!

生活面に関して、インド生活はいかがですか?

住んでいるのがニムラナ(都市部デリーから車で約2時間)なので、会社や家の周りはグルガオンのようにお店はないですが、それも生活の知恵と工夫のし甲斐があるということで、楽しく過ごしてます(笑)確かに周りには限られたレストランしかなく、都心に出るまでに2時間以上かかるなど不便なこともありますが、私個人としては、ニムラナで良かったなと思っていますね。程よく自分の時間を取れて、コンパクトな暮らしができるので満足してます。

もちろん日本と比べて、インフラは整ってないですが、日本以外の国で生活する以上、そしてインドを選んだ以上言い出したらキリがないので、気にしないことにしています。休日の過ごし方としては、土日のどちらかは、都心部に出て買い物に出かけたり友だちに会ったりしています。もう1日は、自宅で料理をしたり、音楽を聴いたり、映画を観たりして過ごしてますね。その他、他の会社の方と一緒に定期的にテニスをしたりもしています。

 

自らの決断に責任を持てたとき、海外転職成功の道は開ける

今後のキャリア展望はどのように考えていますか?

いつかは本社サイドに立って仕事ができたら、と思っています。今あるインドに5工場というミッションはぜひ最後までやり遂げたいです。運とご縁によるところは多分にありますが、現地採用から本社採用にシフトできる可能性がある事も含め、現地採用で自分を試してみるというのはよいチャンスだと私は思います。

まさに海外現地採用のロールモデルの水島さんですが、インドを含めて海外転職するか悩まれている方へのアドバイスはありますか?

具体的に挑戦してみたい仕事や目標とするキャリアがみえているならば、やらない理由を見つけるよりも、エイヤでご縁がありそうな企業にアプローチしてみればいいと思います。やりたい仕事ができるまで今の会社で精進するのか、インフラ問題など日本と同じ環境ではないけれど、挑戦したい仕事のために勇気を持って海外に飛び出すか。

自分の将来を考えて、どっちを取るのかは、その人のライフスタイルに依るものですが、私は、インド就職現地採用を選びました。現地採用を考えた時、もちろん不安な面はあるかと思います。でも思い切って新しい環境に飛び込めば、自ずと結果がついてくるんじゃないかと、または挑戦した過去の自分に報いるために結果がついてくるまで踏ん張るしかないんじゃないかと思っています。と言いながら、私はインドで働き始めることに全く不安はなかったのですが(笑)最終的にはエイヤ!と勇気を振り絞って飛び出すことだと思います。インフラ、言語、食事などに対して違いをネガティブに捉えるのではなく、そんな環境でいかに工夫して前に進んでいけるかを考えるほうが楽しいんじゃないかなと。

編集後記
話していると、お仕事だけでなく人生を思う存分に謳歌しているのがビンビン伝わってくるエネルギー値の非常に高い水島さん。溢れんばかりの弾ける笑顔で、ハキハキとロジカルに話される芯の強い口調が印象的でした。一所懸命に全力プレーで仕事に取り組む姿勢に彼女から見習うべきところはたくさんありました。インド就職、インド転職が注目されつつある今、彼女のように若くして志を持ち、次世代の日本を支えるべく、エイヤーしてくる同士を心待ちにしたいです。