コロナ禍の中、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
リモートワークやオンライン会議にも慣れ、ご自身の生活ペースを掴めた方も多いのではないでしょうか?中には、働き方と共に暮らし方も変わったという方もいらっしゃるかもしれません。
かくいう筆者も、インド就職し、帰国したのち、日本の地方暮らしを楽しんでいる一人です。
このように、働き方が多様になる中で重要視されているのが、“個”の力です。これからは組織内部の人だけでなく、外部の人とも柔軟に協働できるようになり、1人の人の活躍の場がどんどん広がっていくからです。そうなると、求められる人、求められない人の差が広がっていくことも予想されます。だからこそ、個人として「何ができるのか」、「何をしていきたいのか」を一層問われるようになっていくように実感しています。
では、個の力を高めるためには、どうしたら良いのでしょうか?その一つの方法が、今後のキャリア形成の見直しです。
そこで今回は、キャリア形成に焦点を当て、キャリアという言葉の定義から、キャリア形成にあたっての考え方をご紹介していきます。また最後に、キャリア形成という視点で見るインド就職についてもお伝えしますので、海外で働くことを検討されている方は、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
キャリアとは、仕事以外の生活範囲を含む人生全般を指す
まずは、キャリアという言葉について今一度考えてみたいと思います。書籍「働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える」では、キャリアを以下のように定義しています。
狭い意味では、職(職業・職務・職位など)の経歴をいいます。これは言ってみれば「履歴書に書ける自分」です。
広い意味では、仕事・働くことに関わるさまざまな行動、経験、機会、能力、成果、役割、コミットメント、意志、判断などの連鎖、蓄積をいいます。これは「仕事を通して発展しつづける自分」を表すものといえるでしょう。
日本では、キャリアを仕事人生や職業生活と概括して訳すことが多くなっていますが、現在、 キャリアの概念は広がっており、職業以外の生活範囲までをも含むようになっています。なぜなら、私たちは人生を職業人としてだけではなく、市民として、親・子として、もろもろ の活動人として生きるからです。
その役割上でも、さまざまな行動や経験の連鎖・蓄積が生まれており、それもキャリアとしてとらえようという流れです。
参照元:「働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える」より
働き方だけでなく、それを含む生き方すべてをキャリアと定義していることが分かります。
昨今では、SNSが急速に普及する過程で、インフルエンサーと呼ばれる人たちが出てきました。これらの方々は、まさに、自分の仕事以外の生活スタイルや考え方などを発信することで、それ自体がキャリアの一つとなっている分かりやすい例です。このことからも、インフルエンサーには個の力があると言えるでしょう。
仕事とプライベートを分断せずに、キャリアを考える
よく、個の力を高める必要がある、という話になると、私には他人に誇れるキャリアはありません、事務や営業など一般的なキャリアしかありません、という声を聞きます。
しかし、仕事だけでなく、生活など自分のプライベートな範囲まで広げて考えていくと、得意なことや続けてきたこと、他の人よりは良く知っている分野などは出てくるのではないでしょうか?
そんなことを自分の仕事、例えば営業に掛け合わせて深堀してみる、打ち出してみるだけでも、自分独自の、個としてのキャリアの1つに成長させていける可能性はあると思います。
まずは仕事に限らず、プライベートも含めた自分のこれまでの人生を振り返り、得意なこと、興味のあること、続けられていることなどを見つけて見ませんか。
必ず、個の強みが見つかるはずです。そして、その見つけた強みが、誰にも負けない!とは言えないことだとしても、何かほかの要素と掛け合わせることで、自分独自のキャリアにしていけるかもしれません。
キャリアを形成する3つの層と、1つの軸
先ほど、自分が他の人よりも得意なこと、続けてきたこと、知っていることなどがキャリア形成のポイントになるとお話ししましたが、こちらについて、もう少し詳しく体系的にご説明していきたいと思います。
先ほどもご紹介した書籍「働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える」を参考にご説明すると、以下の通り、キャリアは3つの層と1つの軸に分けられるとされています。それでは、具体的に見ていきましょう。
表層:知識・技能・資格・人脈
キャリア形成について考える中で、まず大切なのが、現在の仕事を行う上で活用している知識や技能の棚卸しです。これらは、過去から現在までのキャリアにおける集大成と言え、先ほどお話しした得意なこと、続けてきたこと、知っていることなどが当てはまります。
これに加えて、人脈も有用な資産となります。これらの数が多いほど、そして質が高いほど、掛け合わせることで出来る仕事の幅が広がり、未来の選択肢も広がります。知識・技能・資格・人脈について見直すことで、自分の個としての人材価値に気付けるでしょう。
中層:行動特性・思考特性・態度・習慣
私たちは各々、行いの傾向や考え方の癖を持っています。この傾向や癖といったものは、表層の能力を操る大事な要素です。
例えば、行いの傾向としては、粘り強く取り組む、几帳面、飽きっぽいなどが挙げられ、考え方の癖としては、楽観的、悲観的などが挙げられます。ご自身の行いの傾向、考え方の癖を書き出してみましょう。
表層と合わせて考えることで、自分に向いている仕事や職場環境などが見えてくるでしょう。そうやって導き出した精神的、身体的ストレスの少ない働き方は、中長期的なキャリア形成には重要なポイントとなります。
深層:マインド・価値観
働く上での信条や理念、優先する価値観や動機などがこれにあたります。日々の一つ一つの仕事や、中長期にわたる仕事人生の在り方を操っています。
日常生活では考えることの少ない部分になりますが、キャリア形成における自分の根幹ともいえます。キャリアで大きな決断をする時にこそ、落ち着いて向き合いたい部分です。
自分にとって大切な考え方は何か、譲れないポイントは何か。海外就職のように大きく環境を変える場合には特に、こちらを振り返ってみるといいでしょう。
志向軸:ベクトル(方向性と熱量)
表層、中層、深層の3つの層を内面に持ちながら、何をしたいのか、どこに向かいたいのかという方向性と熱量を持つ必要があります。これが志向軸です。
短期目線で見ると、業務課題や事業目標などになり、中長期目線で見ると、人生における夢や志、目指す目標といったことになります。この志向軸がブレると、キャリア形成もブレてしまいます。そのため、キャリアにおける決断に悩んだり迷ったりする場合には、志向軸からブレている可能性も考えられます。今一度、見直してみるといいでしょう。
このように、私たちの内面には3つの層があり、それを突き刺すように1つの軸があります。このことからも、キャリア形成について考えるときには、3つの層について棚卸しをした後に、志向軸を再確認して自分の向かいたい方向にブレずに進むことが大切だと言えます。
そうすることで、明確になった自分の強みを生かしながら、向かいたい方向にキャリアを形成していけるでしょう。
過去、現在、未来を分けて考えると、整理される
また、上記のように整理した後に、過去、現在、未来と分けて考えるのもおススメです。
なぜなら、キャリアについて考える時、どうしても過去の蓄積や未来の展望にばかり目がいってしまい、現在を見落としがちだからです。3つの時間軸に分けて考えることで、取りこぼしなくキャリアを考えられます。ぜひ、下の文章を読みながらチャレンジしてみてください。
1. 過去を振り返る
まずは、過去を振り返ってみましょう。過去の積み重ねで今があります。過去に習得した知識や技術を書き出してみましょう。忘れていることはありませんか?もう一度磨けば、自分の強みになることがあるかもしれません。時間を取って、焦らず振り返ってみましょう。
また、過去から現在まで続けていることはありませんか?細く長くでも、続けられているということは好きだったり、得意だったり、難なくできる要素だと言えるでしょう。そんな要素を見直したり、他の要素とかけ合わせたりできれば、自分独自の個としてのキャリア形成を助けてくれるかもしれません。
2. 現在を見つめる
過去を振り返って棚卸しが出来たら、今の自分を見つめてみましょう。行動特性や思考特性、態度や習慣はどうでしょうか?どんなマインドや価値観を持っていますか?過去から変わっているかもしれません。今一度、書き出してみましょう。
また、忘れがちですが、これを機に自身の健康についても見つめてみましょう。健康維持、増進のためにできることを考えるのも大切です。体が資本、心が資本です。所属する会社や市場、それを取り巻く社会環境なども見つめ、必要とあれば自分の立場や役割を変えることも検討してみましょう。
3. 未来を想像する
最後に、自分の未来を想像してみましょう。自分の理想像とは、どういった状態でしょうか?なれる、なれないという議論は一旦置いておき、まずは自分の理想を素直にイメージしてみましょう。
そうして想像できたら、未来の理想像から逆算して、「いま、ここ」の自分の在り方を考えてみましょう。現在の自分には何が必要でしょうか?知識?技術?それとも、既にある知識や技術の活用でしょうか?あるいは、転職や起業、移住なんて人もいるかもしれません。じっくり、自分自身と向き合ってみてください。未来を諦めないでください。
インドだから得られるキャリア形成、希少性を味方につける
ここまで、キャリア形成における考え方などをご紹介してきました。ただ、この記事を読んでくださっているということは、海外就職、海外移住といった海外に関するキーワードが、未来のところに出てきている方も多いと思います。
そこで最後に、キャリア形成という観点から、インド就職の魅力を3つにまとめてお伝えしたいと思います。
1. グローバル人材としてのキャリアをスタートできる
まずは、海外で働くという経験がグローバル人材へと成長させてくれます。また、インドでは公用語が英語なので、ほかのアジア諸国に比べても英語力を伸ばすチャンスがたくさんあります。
加えて、日本とは全くと言っていいほど異なる文化圏のため、価値観や宗教観の違いといった大枠から、日々の食事といった小さなことまで毎日が異文化体験の連続です。今、世界中で求められている多様性を受け入れ、共存していくための経験を積むことができると言えるでしょう。前述した表層の部分の形成が可能です。
2. タフな精神力を獲得できる
先程もお話ししたように、インドは働くにも暮らすにも、ハードな国であることは間違いありません。例えば仕事だと、日本では普通に進む案件も、こまめに管理しないと納期に間に合わないことがほとんどです。生活でも、停電や水漏れなどが頻繁に起こるため、大家さんとの交渉も必要になります。
しかし、これらは考え方を変えてみると、日本ではなかなか経験できない価値ある経験と捉えられます。日本の当たり前が通じないからこそ、その中で得られる交渉力や精神力は、大きな財産となり、前述した中層と深層の厚みを増すことができます。
インドで継続して働き抜いた方を見てくと、共通項があります。
それが、志向軸の強さです。
多くの現地採用者は、単身でインドに移住し、最短でも2年ほどインドに身を置きます。これは、なにかを達成したいという熱量や独自の方向性がなければ達成は難しいと感じます。
ただ、最初から強い志向軸を持っているわけではなく、悩みながら熱量や方向性をより強い軸に変化させていく方も多いので、安心していただければと思います。
人材コンサルタントからみたインド就職の魅力
ここまでのお話で、表層・中層・深層のキャリアの3つの層を習得し、志向軸を強く持つ、インド就職はキャリア形成に必要な要素を習得しやすい市場だとお伝えしてきました。
ここからは、実際に、JAC Recruitment Indiaの人材コンサルタントからヒアリングした、キャリア形成を考えた上での転職成功のポイントをお伝えします。
転職市場とは需要と供給
転職市場とは、需要と供給のバランスでできています。企業が必要としている人材が足りていないエリアを狙い、自分が企業にとって欲しい人材となることを考えましょう。
具体的には、日本で海外進出したい企業などは、圧倒的なグローバル人材不足に悩まされています。そして、すでに参入が厳しい欧米諸国よりも新興国や発展途上国を狙っている日系企業は増加傾向にあるにも関わらず、そういったハードシップな国で戦える人材が不足しています。
正直、日本人にとってインドは誰もが生活しやすいと感じられる国ではありません。筆者の経験からも、確かに、他のアジア諸国に比べると生活するのにハードな土地であることは否めません。
インド就職経験者は圧倒的に強い希少性
しかし、その分、インド就労に挑戦する人も、経験できる人も少なく、人材としての希少性を高められると言えるでしょう。自分の市場価値を高めることができる国だと言えます。
上記の通り、インドは希少なグローバル人材として成長できる魅力的な国です。
今後のキャリア形成について整理した時に、インド就職がご自身のキャリア形成に魅力的だと感じていただけた方はお気軽にご相談ください。