インド転職からインドの社会課題に取り組む社会活動家へ! 福岡洸太郎 Amegumi India Private Ltd. Director / NPO団体 結び手 代表理事

インド NPO アメグミ

インド転職を経て、“外部環境が原因で努力できない人をゼロに“というミッションを掲げて社会課題解決に取り組む社会活動家Amegumi India Private Ltd.(以下アメグミ)でDirectorとして活動するかたわらNPO団体結び手で社会課題解決に携わる福岡さんにインタビューしました。

バックパッカーを通して芽生えた社会課題意識。新卒からインド転職までの歩み。

 

社会課題への関心が生まれたきっかけについて教えてください。

大学卒業後、私は就職せずにバックパッカーとして世界を旅していました。その中で南米のグアテマラに滞在していたときに出会った、日本のアニメが好きな子供たち。彼らは日本に憧れ、日本に行ってみたいという思いを語りつつも、ここに生まれた以上それは叶わぬ夢だと諦めていました。

彼らと話をするうちに、私は「個人の努力ではどうにもならない環境」に生きる人たちがいるということを知りました。

お金がなくて学校へ行けない子供たちは世界中にたくさんいます。しかし、頑張って働きたくてもお金を稼ぐ場所や環境がないといった機会の不平等に私は憤りを感じ、このような人たちに機会を創出する仕事がしたいと思うようになりました。

帰国後、職の機会を創出・提供し、仕事をしたい人と雇用したい人を繋げる人材紹介/派遣会社への就職を決意しました。

 

就職から3年、インドへ転職した経緯を教えてください。

最初に就職したのは、外資系世界最大手の人材紹介/派遣会社でした。日本から海外の企業を担当する部署に所属したかったのですが、その前に実際に海外での経験を積みたかったので、海外異動の希望を出していました。しかし、当時はその希望が叶わなかったので、海外転職について考えるようになりました。

転職先候補国としては、メキシコ、インド、シンガポール、タイやマレーシアも見ていましたが、インドとシンガポールに絞り込みました。

そこから最終的にインドに決めた理由は、やはり社会環境とそこにある課題です。

インドは今、経済成長が著しく、国としても大きく発展していますが、その一方で、絶対的な貧困層が多く、国際支援が入りにくいという現状があります。また、カーストも根深く残る中、外国人である私はカーストに縛られずにアプローチできると思いました。

最初の就職から約3年、インドにある日系人材紹介会社のコンサルタントとして転職が決まり、2018年に渡航しました。

 

インド転職をして具体的に見えてきたものは?

インド人スタッフと働く中で、インドの人たちは、ごまかし方も含めてとてもストレートで、人間らしくて面白いなと思いました。ただ、商習慣として緩いところがあるので、そのような環境で働くにあたっては、改めて日本人的な感覚を忘れてはいけないと感じました。

海外では日本の当たり前が通用しないということを心に留めて、インド人とも、インドにいる日本人とも接していくことが大切だと思います。

インドの現地採用転職をしてよかったことの一つは、プライベートの時間が増えたことです。その時間を利用して、少しずつ孤児院やスラムを訪問するようになりました。

また、営業先のインド人の担当者に社会活動をしたくてインドに来たという話をすると、NGOを紹介していただけて、そこからインドの現状を学ぶ機会が増え、人脈も同時に広がっていきました。

当時は、とにかくスラムの現状やNGOの活動を見るだけで、あえて何もしないことを徹底していました。先進国から来た人間が、現実も内情も知らないのに口を出すべきではないと考えていたからです。

ただ、「外部環境が理由で努力できない人に機会を与えたい」ということは心に決めていました。“雇用”というのはひとつのテーマでしたし、雇用のための“教育”というのも漠然と考え始めていました。

 

社会活動家としての第一歩。インド国内転職で日系スタートアップの取締役へ

 

日系人材紹介会社から日系スタートアップへ転職されるわけですが、その経緯と、事業活動について教えてください。

株式会社アメグミの代表常盤さんとの出会いがきっかけでした。アメグミは、独自のOSを搭載した自社製品の格安スマホの開発と販売、および独自ソフトウェア開発を行っており、当時インド現地法人設立にあたって取締役を探しに何度か来印していました。

最初にお会いした日すぐに意気投合し、アメグミが掲げる「全員基本幸福」というミッションに共感して、私はインド現地法人の取締役をやらせていただくことになりました。

最初は農家向けのスマホの販売から始めました。当時のインドでは、スマホを持っていない人が6割ほどいて、その多くが農家の方たち。彼らに格安スマホを提供することで、生活が便利になり、情報にもアクセスできるようになります。

しかし、プロジェクトを始める前にコロナでロックダウンとなり、オフラインでの営業活動ができなくなりました。

農家さんたちも大きな打撃を受けていたので、低価のスマホすら買う余裕のない状況で、FPO(Farmer Producer Organization)という農協のような団体ですら金銭的余裕がなかったのです。そのため、農業セクターからは一度撤退することを決めました。

その様なときに、元々繋がっていた教育系NGOの方と情報交換をする中で、当時オンラインになっていた教育の場に格安スマホを提供することで、コロナ禍でも勉強ができる子供たちが増えるだろうと考えました。少なくともゼロからイチにはなるだろうと。

 

コロナ禍で感じた個人の限界。同じミッションを持つ仲間とNPO団体結び手を発足

 

アメグミで取締役として活動されるかたわら、NPO団体結び手を立ち上げられていますね。どういった経緯なのでしょうか?

インドでは2020年4月にコロナ第一波が、2021年5月から第二波がありました。その際に、現在結び手の理事をしていただいている水流さん(SAKURA Home Service  https://saku-hs.life)(https://instagram.com/sakura_hslife?igshid=YmMyMTA2M2Y=)と一緒に、ビハール州の小さな村やデリーNCR周辺、ラジャスタンのスラムなどに、日本の方からお預かりした寄付を活用して食糧支援、医療支援を実施しました。

ただ、支援している側から、目の前で多くの方が命を落としていく現実を目の当たりにしました。また、新たな波が襲ってきたときにはまた同じ問題が発生してしまい、寄付活動も緊急事態が起きたときの対処療法的な活動でしかなかったことを痛感しました。

その時に個人でできることの限界を感じて、迅速かつ大きく活動ができる団体としての活動をしようと決めました。

活動の内容は大きく分けて3つあります。

・一つ目はインドを初めとした国の貧困地域における教育活動、職業訓練や緊急支援活動。
・二つ目はその様な地域で活動していても、金銭やノウハウが不足して活動が上手くできない団体や個人の支援活動。
・三つ目は貧困地域の方や、現場で活動する方を支援したいけれど、どうしたらいいか分からない方たちを支援する活動。

一つ目の活動の具体的な内容としては、ブッダガヤ周辺で青空教室を開いて、先生の手配から、ノートや教科書、ペンなどの寄付を行う教育プロジェクトを通して、知識や教養を身に付けていくこと。また、クリーニングプロジェクトでは、ゴミが山積みになっているのが当たり前の環境に住む子供たちと一緒にゴミ拾いをすることで、少しずつ意識を変えていくことを目標としています。

インド NPO アメグミ

結び手の活動に興味がある方、支援したい方はどのように関わることができますか?

支援活動をしたいと考えている方々のいる状況、できること、やりたいことはそれぞれだと思います。実際に現場で動きたい方は、現場に来ていただければご案内して、一緒に活動に参加していただけます。

インド在住の方で、お子さんの古着や使わなくなった物を提供いただけるのであれば、必要としている人や村に寄付させていただきます。特に文房具などの勉強に使えるものは大歓迎です。インドルピーをお持ちのかたは、寄付箱もあるので、そこに寄付していただくこともできます。

日本在住の方で、私たちの活動について、インドの現状について話を聞いてみたいという方がいれば、僕は時間が許す限りいくらでもお話をさせていただきます。それをもとに何かを考えてくださる方が増えたらありがたいと思います。

また、結び手のYouTube動画でも私たちの活動を見ていただくことができます。YouTubeは収益化して広告収入も得ているので、より多くの方にチャンネル登録していただくことで広告収入が増えていく。その収入を現場での活動費として活用する。それも社会貢献活動と捉えられると思います。

 

現地の人たちと一緒に活動することの利点はなんでしょうか。

日本の方がインドで支援活動を行う際に、インドのNGO団体と提携し、現地の支援をすることが多いのですが、そうすると提携団体に任せきりになってしまい、現場のことを実はきちんと理解していないことがあるのです。

例えば、団体設立当初課題だったものが、本当に今も同じ課題としてそこに残っているのか、それは、きちんと現場と向き合わないと分からないことなんです。

その点、インドの方々の支援というのは、臨機応変な対応が必須だと感じます。村に住む人の課題は教育だけではなく、コロナの新たな波が襲ってくれば、食糧確保こそが大きな課題となります。その時その時に本当に何が必要なのか、多岐に渡って求められる課題に対応する臨機応変さが大切だなと思います。

インド NPO アメグミ

社会課題が存在し続ける限りはインドに!

 

福岡さんがこれから更に学びたいこと、中長期的な目標は何ですか?

学ぶべきことはたくさんありますが、他の開発現場の成功事例と失敗事例をもっと複合的に知っておきたいと思います。

教育プロジェクトや医療プロジェクトについては、すでにリサーチされた事例を見ればいいのですが、地域開発という意味で、失敗事例が載っている論文を含めた情報を探すことは困難です。支援をしているつもりが実は悪影響を与えてしまっていることもあるので、そういった事例を学びながら、活動を進めていきたいと思っています。

目標はミッションと重なりますが、やはり「生まれ育った環境によって努力できる人がいなくなる世の中をつくる」ということです。怠けているわけではないのに、努力できない、努力しても変わらない環境を無くしていきたいと思っています。

私がインドに来た理由は、経済発展している国でありながら、根強く残る課題がたくさんあるということです。私がここにいる必要性を感じ、私がいることで出せる価値がある間は、これからもインドにいると思いますし、もしかしたら生涯を通しているかもしれません。もちろん、課題がない社会、私を必要としない社会になることが一番ですし、もしそうなったら私はまたバックパッカーにでも戻りたいと思っています。

 

最後に、インド転職、社会課題に興味がある人へ向けてメッセージをお願いします。

少しでも興味がある方は、まずはインド現地の人材紹介会社さんに相談してみたらいいかと思います。また、今はオンラインで人がつながる時代なので、在インドの日本人の方のSNSからDMを送ってみてもいいと思います。

いきなり連絡して、もしかしたら無視されることはあっても、嫌われることはないと思います。失うものは無いですからね。

もちろん、私にお問い合わせいただいても構いません。

また、結び手の活動に関わらなくても、支援活動についての情報が欲しいという方も大歓迎です。会社と違って、NPOの活動には競合はいないと思っています。社会課題に関心があるけれど、情報や人が足りないのであれば、一緒に活動できたらいいですし、一緒にできなくても、同じような課題に取り組む方のお手伝いになるようなことは何でもしたいと思っています。情報や結び手の人材を活用していただいても、それがきちんと課題解決のための活動になるのであれば、私は全然構わないと思っています。私がやるよりもうまく動けて目的が果たせるのであれば、その方がいいですからね。

 

INR(インドルピー)の寄付先団体Aozora:https://www.facebook.com/Aozoranikesh

※日本の支援団体:http://npoaozora.jp/

■結び手への問い合わせ先:
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