やってまいりました!「インドで働く人」インタビューシリーズ。今回は、2018年3月より現地採用としてインド地場の会計コンサルファームCorporate Catalyst India PVT. LTD.(以下、CCI)で働く河内彰吾(かわちしょうご)さんにお話をお伺いしました。
途上国の社会問題を解決したい。世界を目指し始めた第一歩

インドに来ようと考えたきっかけは何ですか?
自分の場合はインドを見据えた転職活動を全くしておらず、たまたま先輩の紹介があっての今なのですが、大学在学中の発展途上国への開発支援や留学経験を経てインドへ就職したのは、何かしらの運命を感じています。

インドのような発展途上国を支援したいと思ったきっかけは何ですか?
大学進学後は、開発経済学ゼミの専攻やフィリピン大学への留学という座学と、NGOでの現地活動という実践の両輪で、発展途上国に対して見識を深めました。振り返ってみると、活動の原点は高校生の時の経験にあり、それらのすべての経験が、現在のインド就職に繋がっていると思います。

インドでハプニングはありましたか?
世界✕専門性を目指したインドでのキャリアアップ


現在の仕事内容についてお聞かせください。
キャリアとして会計という分野を選んだのは、前職で営業と兼務していた販売統括業務にきっかけがあります。当時はメーカーの営業職として働く傍ら、所属する営業部の月次の予実管理も行っていました。損益計算書を基にした販売実績報告書の作成や、営業会議の議事進行を取り仕切る中で、計算書の数字から抱く疑問が会議で解消され、商売への理解が深まるというプロセスが面白く、次第に会計をより深く学びたいと考えるようになりました。

インドで働くことのメリットはなんだと思いますか?
それ以外にも、異文化コミュニケーションを実践する良い機会に恵まれていると思います。日本人とインド人というほとんど異なる文化的なコンテクストを持つ人間同士で仕事を進めなければならないため、協業する上でいかに相手を尊重しながら、その文化的な差異をマネージしていくかといった貴重な経験を積める事も、今後において日本人以外の外国人とのコミュニケーションの機会が増える事を考えた場合、インドで働くメリットになり得ると思います。

インドで働くことのデメリットを感じたことはありますか?
文化的な差異からくるコミュニケーションギャップをデメリットと認識し、ネガティブに捉える人も時にはいます。しかしながらインドで働くメリットで言ったように、今後は日本においても、日本人以外の外国人とのコミュニケーションの機会も一層増える事が予想されるので、海外就職を考えている方は、異文化コミュニケーションを実践する良い機会だと捉えて挑戦して欲しいと思います。私は「郷に入っては郷に従え」という価値観を大切にしていますが、就労する国で外国人として働くということを考えると、その国が持つ文化的背景を尊重することは、ローカルの人々と信頼関係が構築され、結果的に円滑に仕事が進むことに繋がるのではないでしょうか。

今後のキャリプランはどうお考えですか?
インド就職・海外就職を考えている方に一言お願いします!

異文化間におけるビジネスコミュニケーションのスキルを高めるという点では、インドはチャンスの宝庫だと思います。
多様な人種や文化的背景を持つインド人と毎日同じ職場で働くという経験は、同質性の高い日本人や日本にいる外国人と協働する経験よりも遥かに得難いものであるため、この多様性の溢れるインドという環境は、ひょっとすると、異文化コミュニケーションのスキルが世界のどこよりも鍛錬される場所ではないかと感じています。海外就労を考えている方は、ぜひインドを選択肢に入れていただきたいと思います。
小さなきっかけを大きなチャンスに変えるのは自分の行動力
今後のキャリアに悩み始めた頃、日本から飛び出して、自分という一人の人間が外国人ビジネスマンとどれほど仕事ができるのかを見定めたいと考えていました。そんな時、現職のご縁をいただき、インドにたどり着いたというのが事実です。きっかけやチャンスはたくさんあると思いますが、「悩んでいる時間があるならば、まず行動してから悩めば良い」という価値観の私からすると、チャンスが転がっている中で自分のものにしないのはもったいないです。
自分が発展途上国を支援したいと考えた原体験はごくありふれたことであり、一人の高校生が抱いた問題意識でした。インドへ転職したきっかけも、たまたま前職で会社が一緒だった先輩からお誘いを頂いたからでした。ちなみにその先輩とはフェイスブックで繋がっているだけで、直接お会いしてのご挨拶はまだ叶っていません。しかしながらどんな小さなことがきっかけになるかなんてわからないので、正しい選択が何か時間をかけて悩むのか、選択を正しくするために行動するのかは自分次第だと思います。
「百聞は一見に如かず。」ということわざも好きな価値観として持っています。座学から得られる知識は必要不可欠ですが、実際に現地に赴いて得られる経験は、物事を理解する上で、知識以上に大切だと考えます。
SNSやメディアを通して得られる情報は信頼性が担保されていないので、実際に見てみなきゃわからないと思います。もちろんインドについても、渡航前後で認識が変わった事例はたくさんあります。例えばインドから連想する言葉の一つに「嘘をつく」点が挙げられます。インドに来てからは、彼らは嘘をつくというより、何か尋ねられたり頼られたりした時に、そのおせっかいなほどまでのインド人なりの優しさゆえに、できないことにもNoとは言えず引き受けてしまい、結果的に期待を裏切ってしまうのではないかと捉えるようになりました。
日本人の感覚からすればそれは嘘をついた事実として認識されますが、インド人の感覚としてはそれが「努力目標」であり、誠意の表れと見ることもできると思います。もちろんビジネス上ではそのおせっかいさが多大なコストを発生させることもままありますが、こうしたことはインド人とのコミュニケーションを重ねて得られたことなので、自分なりに経験してみて考えることも大切だと思います。
編集後記
「悩んでいる時間があるならば、まず行動してから悩めば良い」という言葉が印象的な河内さんのインタビューでした。何事も自身の目で見て確かめることが大切だと言っていた言葉にも深く共感しました。異文化コミュニケーション力とは、机上の理論だけでなく、実経験があってこそ、より実務に活きてくるスキルです。河内さんがおっしゃったように、文化の違うインド人と働く上でギャップを減らしていくためには、自身の言葉で確かめ、意見を交換しつつ、お互いに信頼しあえる関係を気づく経験こそが、実務に必要なスキルだと感じています。
インドで、世界に通用する会計ファームコンサルタントとして成長し続ける、河内さんのパワーを感じた、そんなインタビューでした。