インドの大気汚染も解決間近か? ~排ガス規制BS6が2020年4月についに始動!~【パート2】

インド BS6 大気汚染

「インドの大気汚染も解決間近か?~排ガス規制BS6が2020年4月についに始動!~【パート1】」にて、
BS6と今までの流れをおさらいしたところで、具体的なインド企業の動きを見ていきたいと思います。

在インド外資自動車メーカーBS6事例

フォード

米自動車大手フォード・モーターはBS6に対応したスポーツ型多用途車(SUV)「エコスポーツ」を発表しました。また今回の仕様変更に伴う値上げは僅か1%程度に抑えています。

ヒュンダイ

現行の排ガス基準「BS4」に準拠した製品の販売を2020年3月までは続けながら、徐々に今回の排ガス政策へ対応した製品への投入を進めていくと発表しています。

インド自動車シェア第二位を占めるヒュンダイのこれからの動きに注目です。

在インド日系自動車メーカーBS6事例

マルチスズキ

現在インド国内でのシェア1位を誇るマルチスズキ。

2020年1月27日、BS6に先行適合した新車の販売台数が、2019年4月の発売から10か月で50万台を超え、ガソリンエンジン搭載の全ラインナップの75%がBS6に適合済み、と発表しました。マルチスズキは、BS6適合車両を2020年4月のBS6施行よりも先に、量販セグメントに導入した最初の自動車メーカーになると述べています。

さすがはインドでのシェア1位を誇るだけあり、いち早く今回の厳しい規制に対応しているようですね。

トヨタ

1997年にキルロスカグループとの合弁で設立した、トヨタ自動車のインド法人。同社は、BS6の実装後もディーゼル車の販売を継続する方針を掲げており。BS6対応のディーゼルエンジンを、コスト効率高く製造するために必要な投資をすでに行っていますが、大幅な車両価格上昇は避けられない状況のようです。

ホンダ

本田技研工業が、1995年に設立した現地法人。
ホンダのインド二輪車法人ホンダモーターサイクルアンドスクーターインディア(HMSI)は2019年9月に、BS6対応のスクーター「アクティバ125」を発売。独自の技術を使った改良エンジンを搭載して排ガスを削減しエンジン部分の軽量化や摩擦低減で燃費効率も高めました。
価格は明かにしていませんがホンダインド法人の加藤社長は「現行車の10〜15%高くなる見通し」だと述べています。一方で燃費効率が10%向上するため、燃料費を節約できるそうです。

インド系自動車メーカーBS6事例

TATAモーターズ

自動車インド大手タタ・モーターズは排ガス新規制「バーラトステージ(BS)6」適合モデルの発表を2019年2月6日~9日に開催されたインド最大規模の自動車見本市「オートエキスポ」で、4車種を世界初公開するほか、商用車14車種と乗用車12車種を発表しています。

ヒーロー

インドの二輪車最大手ヒーロー・モトコープは、BS6に対応した初のモーターサイクル「スプレンダー・iスマート」を発売することを発表しました。ヒーローはスプレンダー・iスマートを皮切りに、今後数カ月間でその他のモデルのBS6対応を進める計画です。

マヒンドラ

インド地場の自動車製造・販売会社。同社は、排ガス新規制「バーラトステージ(BS)6」に準拠したスポーツ型多用途車(SUV)「xuv300」を発表しました。

BS6導入によるインド市場への影響や環境問題の改善

消費者動向からも分かる通り、現状としてBS6対応車が普及するまでにはまだまだ時間がかかることが予想されます。しかしながら、各種自動車メーカーの尽力によりインドは大気汚染への改善に向けて確実に前進しています。



これまで“技術“と”品質“に高い誇りと強みを持ってきた日系企業。
2019年は自動車業界にとって苦しい年となりましたが、今回の規制によって日
系自動車メーカーやパーツメーカーに新たな転換期が訪れるかもしれません。


先進国レベルの厳しい環境規制に対応した製品開発を手掛ける日系の自動車、自動車部品メーカーにとっては今回の排ガス規制の強化は大きなビジネスチャンスとなるのではないでしょうか。高い性能と品質で、インドの環境改善に貢献していきたいという企業もインドへ進出していたことから新たな設備の導入、ラインの拡充、工場の新設からそれを先導する人、エンジニアと雇用も多く行われました。


「世界最悪レベル」の大気汚染を改善することが急務となっているインド。
2017年には、インドのゴヤル電力相(当時)が、「2030年までにガソリン車もディーゼル車も売れなくする」と発表し2030年までにインドを走る車をすべて電気自動車(EV)にする構想を述べました。
現在10年後のEV化に向けEV充電ステーション建設を促進させるようですが、インドではまだEVインフラが十分に整備されておらず、EV販売台数も限定的です。

電動化関連では、パナソニックがEV向けステーションを設置し、充電網への参入を検討。古河電工が電動化市場への商圏拡大を計画。インド部品メーカーとの合弁、提携により生産・販売・開発体制を強化する動きも多く見られており、既に日系企業もEVへの設備投資を進めているようです。


このような動きによりインドにおける日系サプライヤーの新規参入や拠点拡大も見込まれ、新たな人材需要が生まれる可能性も期待できます。
これらの思い切った政策により将来的に深刻な大気汚染問題の解決へ近づいていくのではないでしょうか。

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