この度Paletteでは、インドの生活や治安の実情をお伝えするために【インドで働く現地採用者男女26名を対象としたアンケート調査】を実施しました。アンケート内容は、生活・治安・仕事の3つです。
本ブログでは、アンケート調査公開第一弾として、生活編と治安編の2部構成で調査結果をご報告します。
インド生活は、本当に過酷なのか?【生活編】
インドと聞くと、生活がしにくい、食生活がインド料理ばかりで日本人には厳しい、衛生面があまり…といったイメージを持たれている方も多いと思います。それでは、インドで働く現地採用者は実際どのように感じているのでしょうか?インドにきて、生活で困ったことを教えてください。
いまだ、インドで生活することへのネガティブな意見は多くあります。住むエリアや勤務する会社の福利厚生(車や保険)によって、個々の差が大きく出るところですが、アンケート結果を、衛生面・医療・生活・食事・インフラに分けてご紹介していきます。
衛生面
・水質のせいか髪が痛む(髪が抜ける)・大気汚染が心配、つらい
・虫が多い
・乾季は部屋が埃っぽくなりやすい
生活面
・生活用製品の質がよくない・気軽にお酒が買えない
・娯楽が少ない
・経済的余裕がない
・僻地での就業により、買い物など行く場所が遠い(工場地帯勤務者)
食事
・外食費が高い(思っていたよりも出費がかさむ)・他の東南アジア諸国より日本食材が少なくて高い
インフラ
・電気代など特段安いわけではない(水道料金は無料もしくはかなり低い料金)・通信環境がよくない
・停電などの生活環境の悪さがストレス
・公共交通機関がなく不便(工場地帯在住者)
医療面
・年金や保険、医療関連について迷いや不安がある・入院となると医療費が高い
その他
・公的機関や銀行などの届け出、開設等にかなりの時間を要する・日本人コミュニティが狭い
・外国人というと、日本人や韓国人がほとんどで、欧米人をあまり見かけない
個人の衛生観念、ライフスタイルによって感じる度合いは異なりますので、あくまで1つの意見として捉えていただけるとよいでしょう。生活や食事面に関しては、徐々に慣れることができる方やマインドセットが上手な方はポジティブに捉え、インド生活を楽しんでいる現地採用者の方もたくさんいます。
具体的に、どのようなポジティブな面があるのか?も質問してみました。
インドは、思っていたよりも格段に住みやすい
インドに来て、生活面でよかったと思えることを教えてください。
全体的に「思っていたよりも格段に住みやすい」といった回答結果でした。近年、インドは急速な発展を遂げており、交通インフラや住居などを含む「生活のしやすさ」においては、日々改善されてきています。
その他の回答は下記の通りでした。
・ネットショッピングや出前が便利
・日本より安価に野菜や果物が買える
・移動手段(タクシー・オートリキシャ・電車など)が安い
・同じ予算なら、日本よりも広い部屋に住める
・コンドミニアム(プールやジム、レストランなどのファシリティが充実したアパート群)に住める
・貯金がしやすい環境
・メイドさんを雇う習慣が根付いており、安く雇える
・週末などで海外旅行に行ける
年々、高騰している人件費ですが、日本に比べればまだまだ安いインド。そのため、生活にかかるお金は、暮らし方によってはかなりセーブすることができます。ただし、贅沢な生活をしようとすると日本よりも高くつくこともあり、品質の良い洋服や家具、輸入品はかなりのお値段がします。
一方で、グローバル展開しているチェーンの五つ星ホテルなどは、そもそもの価格設定が低いため、日本よりは気軽に滞在したり、お茶を楽しむことができます。
その他、日常生活における精神的な面では「多様性に寛容であり、自分自身や他人にも精神的に寛容になれる」、「インド人や他国の友人ができ学びが増えた」といった回答もありました。
次に、気になる食事、そして現地採用のお給料でインドライフは乗り切れるのか?と質問してみました。
仕事後や週末など、普段の食事はどうされていますか?
自炊がなんと7割!外食や出前は1割弱とかなり少ない結果になりました。
特に、都市部ではなく工業地帯に住んでいる人が、自炊をしている傾向が高いという結果になりました。「自炊すれば食費がかなり浮く」というのが一番の理由のようです。またインドでは、野菜やフルーツが安く手に入るので、貯蓄したい現地採用の方は自炊生活をしているようです。
日本食や中華、イタリアンなどの食材と調味料も、マーケットで一通り手に入りますので自炊は問題なくできます。醤油やだしなどの和食用調味料は、日本の2〜3倍するので日本で購入してくる人が多いようです。
デリー・グルガオン地区の都市部の外食事情は比較的進んでいますが、インドではGSTと呼ばれる税金がかなり高く、サービス税の平均は18%(高級ホテルでは更に税率が上がる場合も)あるため、外食すると約2割が税金で加算されます。外食を控えたくなる気持ちもわかりますね。
月々の貯金額を教えてください。
最も多かった回答が、3〜5万ルピー未満(約4.5万円〜7.5万円未満)。次に、5万ルピー以上(7.5万円以上)を貯蓄しているという回答結果でした。
インド就職の現地採用者の平均所得は14万ルピー(約21万円)です。手取りにすると、おおよそ約11万ルピー(約17万円)。手取りで考えると給与の約40%を貯蓄に回せていることになります。月5万ルピー貯金すると年間で75万円ルピー(約90万円)、3年勤務をして270万円できることになりますので、まずまずでしょうか。
それでは、次にインド生活で最も気になる治安についてのアンケート結果です。
インドは本当に治安が悪いのか?【治安編】
インドの治安の悪さは日本でもなにかと話題にあがります。ネガティブな情報が多く報じられており、インドのイメージを偏って受け止めている人が大多数だと感じています。ここでは、インドで働く現地採用の方が、実際に危険な目にあっているのか率直に質問をぶつけてみました。
インドで、実際に危険な目にあったことはありますか?
回答者の内、16%が「YES」
その時の具体的な状況を教えてください
・夜12時ごろ、UBERで移動中に突然途中で降ろされた
・犬にかまれた
・バス内でスリにあった
・スキミングにあった
・ヨガ教室で体を触られた
上記のように、怖い思いをされている方もいるようですね。ここで少し、インドに限らず海外で生活する場合の現地での安全対策について書かせていただきます。
まず、日本以外の国で、遅い時間帯に女性の一人歩きはしないことは重要です。
万が一、夜遅くにタクシーに一人で乗らなければならない場合は、配車タクシーサービスUBERやOLAのアプリケーションにEmergencyボタンが設置されていますので、そういった機能があることを知っておくことも大切です。また、乗車と同時に事前に登録した連絡先に自動的に現在地情報がシェアされるサービスも導入されています。
インド渡航にあたって心配事項の1つが、狂犬病です。実際に、インドでは日本と比較して野犬を目にする機会が多いです。ただ、最近は政府の方針で野犬の取り締まりが始まっていますので、今後は改善されていくことが期待されています。野犬は日中は暑さで静かに寝ていますが、夜は活発になります。夜に外を歩している時は注意が必要です。
また、カードのスキミング被害は、キャッシュレス可の進むインドでどのように防ぐべきなのかが課題の1つです。最近ではキャッシュカードを使用せずに支払いをするPaytmやMobiwikiといった、支払いアプリを使えるお店が増えています。こういったアプリを使い、キャッシュカードのスキミング被害は回避するようにしていきましょう。もっと入念に用心したい!という方は、ローカルマーケットなどでは現金を使うなど工夫されるといいですね。
次に、女性の現地採用者に対象者を絞り、安全対策についてお伺いしてみました。
女性として気を付けていることを教えてください。
・夜一人で出歩かない
・服装に気を付ける(露出を控える)
・夜間の公共交通機関は避ける
・話しかける相手は身なりなどで選ぶ
Palette編集部のあるハリアナ州は、他州に比べて、農村部では男女差別が未だ根付いていると聞きます。デリー州の隣に位置しているものの、ここ10数年で今のような大都市に開発されたこともあり、まだまだ農村部の伝統的な考えを持つ人々も住んでいるためです。
そういった方にしてみると、女性が露出をしていたり、愛想を良く笑顔で挨拶したりといった行動を勘違いし、自分に好意を持っている、誘っていると一方的に解釈する場合があります。こういった土地柄や背景を理解しておくと、危険の可能性を最小限におさえることができるでしょう。
しかし、日本人が勤務するようないわゆる外資系企業にはこういった感覚を表に出すような方は少ないように感じます。あくまで「一部のインド人に伝統的な考えを持つ人がいる」ということですので、誤解のないように補足しておきます。
日本でも、地方の少し年齢が上の一部の方は、伝統的な考えを持っていたりしますので、男女差別は世界共通の問題と捉えておいたほうが正しいですね。最近は、海外帰りのインド人も多く、そういった人たちの感覚はすごくインターナショナルです。
まとめ
インド生活は日本のようにはいきません。インドだけでなく、日本ほど便利で快適で安心な国はそうそうありません。海外生活を、どうポジティブに捉え、楽しむかもインドで生活することの醍醐味でもあります。インド人の友人や同僚を増やしていく過程で、インドのポジティブな面が見えてきます。また、日本で見聞きする情報にとらわれず、実際にこの地を訪れてみることで、大きくそのイメージが変わる人もいます。
日本は世界でも有数な安全な国です。まずは日本での当たり前を取り払い、インドという多様な文化や宗教を積極的に理解し、自分の力でどうやって快適な生活に変えていくかを考えていける人は、今後、多国籍企業でも活躍できる素養を持っているといえるでしょう。
もっと突っ込んだ質問がしたい方は、いつでもPalette編集部、またはJAC Recruitment Indiaのスタッフがご相談にのります。下記よりお気軽にご相談くださいね。
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