ここインドで社会起業家として活躍するのは、現地の貧困問題を解決しようと奮闘する水流早貴(つる・さき)さんです。
社会起業家とは、ビジネスの観点・手法から社会問題を解決する事業を興す人のことを言います。英語では、ソーシャル・アントレプレナーや、チェンジ・メーカーなどとも呼ばれています。
特に、ここインドでは、急速な経済発展による環境破壊や、宗教や歴史に関連する貧困問題、など様々な社会問題が取り沙汰されており、これらに対する根本的な解決となる持続可能な社会問題の解決に向けた事業を立ち上げる社会起業家が増えています。
水流さんは、貧困に苦しむスラム街の女性たちを雇用し、インド人富裕層、またはアッパー・ミドル層と呼ばれる中高所得層のインド人に向け、ハウスクリーニング・サービスを提供しています。
今回は、そんな彼女のインドでの奮闘を追いました。
インドで社会起業家となるまでのキャリアストーリー
水流早貴さんの略歴
東南アジア各国を飛び回る父親の影響から海外に興味を持ち、大学は英文学科に入学。
大学時代、途上国の教育課題を解決するために東南アジア、アフリカで活動する先輩に出会って刺激を受け、自分もこの目で世界を見たいとバックパッカーになった。
その道中でインドの貧しい地域を訪れ「貧困に苦しむ子ども達がそこから抜け出し、夢を叶えられる社会を創りたい」というビジョンが生まれた。
その後、インドのNGOでボランティア活動に参加。のちに、インド企業でインターンシップも行い、日本人向けカスタマーサポートを経験。
その際、インド人スタッフのマネジメントに苦戦して大きな成果を残せなかったこと、まだ具体的なビジネスアイデアがなかったことから、日本に帰国して就職することにした。
新卒ではパーソルキャリアへ入社。その傍ら社会起業家塾に入り、休日は勉強会やフィールドワークに参加する日々。
そんな折、夏季休暇を使い、インドネシアでソーシャル・ビジネスを展開する現地企業でインターンシップを行った。これが転機となる。
インターン先は、インドネシアの中でも老舗企業。代表の「まずはインドに行き、とりあえず動いてみること」というアドバイスにも後押しされ、帰国後すぐに退職届を提出した。
その後、国内外で分野を問わず、30以上のソーシャル・ビジネスを展開する日本発の企業「ボーダレス・ジャパン」に転職。同社の1事業として、インドでディープ・クリーニングサービス事業などを展開する「SAKURA Home Service」をスタートさせた。
―本日は、お忙しい中ありがとうございます。本インタビューでは、インドで奮闘する水流さんの想いを探っていきたいと思います。まずは、なぜインドだったのかをお聞かせいただけますか?
インドには、バックパッカー時代を含め、事業を興す前までに10回くらい旅行で訪れていたのですが、その中でインド人に魅了されたからですね。
私から見たインド人というのは、お節介で他者想いで、人を助けようとする温かい心を持った人たちです。私も何度も助けられました。
そんな人たちに何か恩返しがしたい、力になりたいと思ったのがインドに決めた理由です。
というより、決まっていったと言った方が正しいかもしれません。
また、インド国内いろいろな場所を旅しましたが、東西南北の地域によって町の雰囲気も人の気質も違い、同じ国だけど違いがたくさんあるということを面白いと感じたのもありますね。
―では、なぜこれまでソーシャル・ビジネスへの想いを絶やすことなく、進んでこられたのでしょうか?水流さんは日本で働いていたころ、どのようにモチベーションを維持していたのでしょうか?
日本での社会人経験は『いずれインドで事業を立ち上げられる自分になるための修業期間』と位置付けていました。だから全力で頑張れましたね。
でも、そうは言っても、私も社会人になって半年くらいは、何をやっているんだろう、今やっていることはこれから役に立つのだろうか、とモヤモヤした気持ちを抱えていました。
だから私は、休みが取れるたびにインドを訪れていました。少なくとも年に1度は来ていましたね。
あとは、自分がなぜ、何のためにインドに行きたいと思っているのかを、折に触れて思い出すようにしていました。
私は目的思考が強いので、週に一回、自分の現在地点と目標地点を書き出し、そのギャップを埋めるためにはどうすれば良いのかを見つめ直していました。
私のミッションは『理不尽な環境下に生まれたとしても、その人がやりたいことをやれる世界を創ること』。
そのために今できることをやろう、そうやって自分を奮い立たせていました。
―そこで参加していたのが社会起業塾だったのですね。
はい、同じように社会をより良くしたいと考える同志の存在は大きかったですね。
また、ミッションにある理不尽な環境というのは、何も海外だけにあるものではありません。日本にも様々な社会課題があり、理不尽な環境に置かれている人たちは沢山います。
そこで、自分の価値観やミッションに近いところで活動している日本のNGOなどに参加し、ボランティア活動をさせて頂きました。
その中で改めて、そんな環境下にいる人達のために自分の人生を使いたいと決意できましたね。
また、社会起業塾とは別でも、同じ価値観を持つ人たちが集まるコミュニティには出来るだけ足を運び、彼らから良い刺激を受けていました。
既に社会起業家として活躍している先輩には、アドバイスをいただいていましたね。
今思うのは、日本のNGOで社会問題に触れられていたお陰で、その時に学んだことが今のインドでの事業立案に生かされているということです。特に、事業運営の手法などは参考にしています。
―このほか、インドネシアで社会人インターンシップに参加されていますね。そういった制度があると知らなかったのですが、参加してみてどういった点が良かったですか?
事業運営、組織運営について学べたこと、そして同じソーシャル・ビジネスの分野で奮闘する仲間と出会えたことですね。
インドネシアの企業は、私が所属しているボーダレス・ジャパンのような組織で、10個くらいの事業体を持つ会社でした。
その事業体の分野は様々で、女性支援や農業関連、マイクロファイナンスなど幅広くあります。
それゆえ、多種多様な人たちが働いていました。
こういったソーシャル・ビジネスの組織で働く人達は、熱いパッションを持っている人が多く、衝突もあります。
それが他業種、多職種の人達で話し合うとなると、より一層難しい局面も出てきます。
そんな時に、どのようにまとめるのかは参考になりました。
また、インドでビジネスモデルを作る際のアイデアの源泉にもなっています。
本を読んで知識を得るだけでなく、実際に組織の中に入って手を動かせたことで、使えるスキルが身に付いたことは財産ですね。
今でも、ここで出会った仲間とは定期的に近況報告会を開いています。そういう人達に出会えたことは私の人生にとって大きなことですし、今後も切磋琢磨し合いながら進んでいきたいと思っています。
インドでのソーシャル・ビジネス奮闘記
ここからは、水流さんのリアルなインド奮闘記を探っていきたいと思います。
そこで、彼女のTwitterから幾つか気になる投稿を抜き出し、質問してみました。
―ツイッターを見ていると、お客様とのもめ事に苦心していらっしゃる様子が見受けられます。例えば、以下のツイートを拝見したのですが、この時のお話を伺えますか?
最近訪問したインド人経営者のお客さん。イケると思ったのか、弊社のマネジメントスタッフや清掃スタッフに事業の質問攻めして給与まで聞いて、最終的に”うちも清掃サービス始めたいからうちに来ないか”って私のいない所でスタッフに声掛けてたらしい。。
— Saki Tsuru🇮🇳インド (@Tnsakii17) October 14, 2020
これは、スタッフを引き抜かれそうになった時のツイートですね。
しかし、結果としては全く問題ありませんでした。
そもそも、最初の面談の時から先方は変だったんです。(笑)
弊社の女性スタッフに明らかにプライベートな質問をしていて、嫌悪感を抱いていました。
そしたら案の定、スタッフから報告を受けて、今の給与額や家の住所まで聞かれた上に、今よりも高い給与を支払うからうちに来ないかと誘われたと言うんです。
でも、彼女たちはすぐに断ったそうです。
その人のところに行っても自分たちは幸せになれないから、と。嬉しかったですね。
信頼関係を築けていたと再確認できました。
ちなみに、この報告をしてくれたスタッフは弊社のマネージャーなのですが、彼女とは会社の立ち上げ当初からの付き合いです。
採用した当時は日本で言う第二新卒のような状況で、ビジネススキルはありませんでした。
でも、彼女は私の友人のインド人からの紹介だったのですが、最初に面談した時の不器用そうな感じ、真面目そうな感じに信頼できそうだと感じて採用しました。
あとは、彼女は過去に現地のNGOで、スラムの子ども達に勉強を教えるボランティアを行っていたことが採用の決め手になりましたね。
会社設立の目的である『理不尽な環境下に生まれたとしても、その人がやりたいことをやれる世界を創ること』が、共有できる相手だと感じました。
その当時は、会社の事業内容も何も決まっていませんでしたが、理不尽な環境下にいる子ども達の力になりたいという根底の想いが同じであれば、末永くやっていけると確信していました。
創業メンバーなので、想いを重視して採用しましたが、正解でしたね。
―想いをベースとした強い信頼関係が築けているのですね。このほか、インド人スタッフさんのケガやデング熱が重なったというツイートもありますよね。この時は、どのように切り抜けたのでしょうか?
1名スタッフが脚負傷、もう1名はデング熱で2名働けず、、負の波が来てるな〜
— Saki Tsuru🇮🇳インド (@Tnsakii17) October 11, 2020
実はこれって、よくあることなんです。(笑)
この前には、1人が足の手術で来られなくなったのと同時に、1人が妊娠したことが発覚しました。
私たちが雇っているスラムで暮らす女性たちは、体調を崩しやすいと感じています。
食べているもの、暮らしている環境が良くないからだと思います。
この時は良かったのですが、ツイートした時は商戦期に向けてのかきいれ時だったため、正直痛かったですね。
でも、どうしようもないので、取れる案件だけとって顧客満足度を高めることに集中しました。
ここで大切にしていることは、人が減ったからといって、単に増やせばいいというわけではないということです。
新しいスタッフを雇えば、教育が必要です。
教育が必要になると、既存のスタッフの中でも人に教えられる優秀なスタッフの時間がとられ、現場を回せなくなってしまいます。
そのため、まずは既存スタッフの底上げをし、みなが一人でも現場を回せるようになってから、新しいスタッフを雇おうと考えています。
ただ、需要に対して供給できていないことも事実です。
今は早急に人材育成を進め、同時に社内体制を整えることも急いでいます。
具体的には、トレーニング内容と評価制度の見直しです。
どこまで成長したら、何ができるようになったら、上に行けるのかが明確にわかるようにし、スタッフをモチベートできる環境を整えています。
―辛い状況でも頑張れる、踏ん張れる理由は何でしょうか?負の感情に襲われたときの対処方法についても教えてください。
もうどうにもならんやん!って何度も叫びたいことあったけど、結局一つずつ問題の原因に対する解決策打って前に進んでいくしかないし、諦めなければどうにもならないことは意外とない。月末まであと少し!走り抜けるよーー
— Saki Tsuru🇮🇳インド (@Tnsakii17) September 25, 2020
2つあると思っています。
1つ目は、考え方です。トラブルは日常茶飯事で、毎日なにかしらのトラブルが起きます。
そうやってトラブルが起きると、こんな状態がずっと続くのではないかと思って不安になりますが、そんな時は考え方を楽観的に変えるようにしています。
例えば「今まで1年半くらい会社を経営してこられた。いろんなことがあったけど、今まで続けてこられた。ということは、今回もきっと大丈夫なはずだ」などと、自分に言い聞かせています。
経営も人生と同じで波があります。下がる時もあれば、上がる時もある。
トラブルに見舞われて落ち込んでいても、素敵なお客さんに出会って奮起できることもある。そんな風に考えるようにし、負のループに入らないように頭と心を切り替えています。
続いて2つ目は、夫の応援です。
私と夫は、インドと日本の”遠距離”婚生活を送っているのですが、毎日必ず電話をしています。
私が現状を報告したり、不安な気持ちを話したりすると、いつも励ましてくれます。
また「インドの子ども達のため、女性たちのために来たんでしょ?」と言って、初心を思い出させてくれます。前に進む原動力になっていますね。
また彼は、今の事業を夫としてではなく、一人の人間として、意義のある事業だと認めて応援してくれています。
学生時代に所属していたNPOで出会っているので、ソーシャル・ビジネスへの理解も深く、いつも一番近くで応援し続けてくれています。本当に感謝しています。
―パートナーという絶対的な味方がいることで、踏ん張れる場面ってありますよね。こちらのツイートで知りましたが、読み書きができない、ヒンディー語しか話せないスタッフもいるのですね。どのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか?
まだ入って数ヶ月で、文字も数字も読めなくてケミカル覚えるのに苦労した女性スタッフ、ミーティングで自身の至らなさを痛感して悔しかったのか涙浮かべてた。大丈夫、こういう子が後々化ける。何度でも言うけど、母親って本当に強いと思う。
— Saki Tsuru🇮🇳インド (@Tnsakii17) October 5, 2020
今はヒンディー語を習得しているので問題ありません。
でも、インドに来た当初は全く話せず、インド人の通訳を雇っていましたね。
なぜ、ヒンディー語をマスターしようと思ったのかというと、ヒンディー語を話せないとスタッフを的確にマネジメントできないとわかったからです。
以前、スタッフとの意思疎通にずれがあったことから、トラブルが発生してしまいました。
その時に、スラムに住む識字率の低い人たちのために事業をやるには、ヒンディー語をマスターしなければならないと決心しました。
そこからはインド人の先生について週に5日、仕事終わりにヒンディー語のレッスンを受けました。
レッスン自体は3カ月続け、そこから1,2カ月はYoutubeなどを使って独学で勉強し、今では通訳なしで日常会話レベルだと問題なく話せるようになりました。
日々仕事をする中で、同じ言語でコミュニケーションをとれることのメリットを感じています。
以前にも増して、スタッフとの信頼関係が強くなっているように思いますね。
―インドで働く日本人に話を聞くと、インド人の人材教育の難しさを口にされます。しかし、水流さんの会社では、顧客満足度が上がっているというツイートを見かけました。どういった人材教育をされているのでしょうか?
今日のお客様からは「サービスの質も高いしスタッフもwell trainedで感動した!全てが良かった!」と絶賛頂き次のご予約も入れて頂いた👏✨
— Saki Tsuru🇮🇳インド (@Tnsakii17) October 17, 2020
弊社では、かなり厳しく就業ルールを定めています。
日本人の皆さんがおっしゃることというのは、時間通りに来ない、納期どおりに仕事が進まない、報連相がない、といったことだと思うのですが、これらについては私も同じように課題意識を持っています。
なので、弊社では就業に関するルールや罰則、懲戒解雇の規程などを入社時に細かく、そして明確に共有するようにしています。
その甲斐もあって、スタッフはみんなきちんと守ってくれています。
例えば、遅刻の際も事前に理由と共に連絡が入ります。
日本では当たり前のことなんですけどね。(笑)
加えて、私がスタッフ教育で一番注意しているのが、スタッフとの信頼関係を築くことです。
弊社のスタッフはスラム街の出身ということもあってか、自己肯定感が低いと感じています。
ミスをすると追い出されるんじゃないかと思ってビクビクしているのがよく伝わってきます。
そのため、信頼関係が築けていない段階から厳しいことを言いすぎると、ひねくれてしまい、こちらの言うことを聞いてくれません。
だからこそ、まずはその人のいいところを見つけ、褒めてあげるように意識しています。
「小さなことでも、そのいいところを使うとお客さんに喜んでもらえるよ」と伝えてモチベーションを上げるように意識しています。
そうして精神的にも安定し、信頼関係が築けたと感じた段階からは、厳しい指導もするようにしています。
そうやって、バランスの取れたコミュニケーションをとることで、厳しいフィードバックも受け止められるようになっていると感じます。
水流さんのインドでの働き方、生き方
―先日、働き方に関する書籍「働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える」を取り上げた記事を書きました「ワーク・ライフ・バランスを叶えて海外で働きたいアナタへ、インド就職という選択肢を」。その中で、以下4つの働くと生きるのスタイルを紹介したのですが、水流さんはどちらに該当しますか?
1. ワーク・ライフ・バランス
仕事も生活もきちんとやりたい。両者を区分けし、調和させる。自分が大事にしたい軸を持っている。が、仕事に求める軸と、生活に求める軸は、おそらく異なっている。
2. ワーク・ライフ・ブレンド
仕事も生活も区分けなく融合させて楽しんでいる。両者が活性化しあう。自分が大事に したい軸を持っていて、その軸は仕事と生活を共通に貫ける太くて強いもの。
3. ワーク・ライフ・スプリット
仕事と生活を完全に分離する。仕事は労役的なガマン。せめて生活で楽しいことを。
4. ワーク・ライフ・メシー
仕事と生活がなし崩し的に混ざり合い、どちらも鈍く重い感じ。
引用元:働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える
2に該当しますね。
日本にいた時からそうでしたが、インドに来てからもミッションを持って仕事に取り組んでいるため、仕事と生活が区別されることなく、融合した生活を送っています。まだまだ、やりたいことはありますが、自分のビジョンに少しずつ近づいていると感じられていて、とても充実しています。
―では、水流さんの理想の働き方、生き方はどういったものでしょうか?それを叶えるためにインドでしていること、していきたいことありますか?
これから先もずっと、社会起業家として生きていくことですね。
今は清掃事業を行っていますが、社会ニーズを見極めて柔軟に事業形態も変えていきたいと思っています。
というのも、弊社は立ち上げ当初、メイドの派遣事業を行っていたのですが、このコロナ禍で事業は完全にストップしてしまい、今後の事業戦略についても大きく見直しました。
そこで目を付けたのが、ハウスクリーニング・サービスです。
コロナが明けたとしても当分、スラム出身の女性がいろいろな家に出入りするのは難しいと判断したからです。
また、会社の事業とは別に、教育問題に興味があるので何らかの方法でアプローチしていきたいと思っています。
そのためにも、今後もインドで働き続けたいと考えています。
そして、今は離れて暮らす夫ですが、彼の掲げるライフミッションを叶えながら、一緒にインドで暮らす話もしています。
子どもが出来たら、子どもを育てながらできる範囲で貪欲に活動したいですね。
―では、インドでのオフはどのように過ごされていますか?
正直なところ、丸一日の休日はありません。
なので、週に一度、夕方からは仕事をせずリフレッシュする時間を作ろうと決めて実施しています。
過ごし方としては、インドに来てから犬を飼い始めましたので、散歩やトリミングなんかを行っています。
犬がいたら日本に帰りづらくなる、長くインドに残れるだろうと思って飼い始めました(笑)
あとは、甘いものが好きなので、それを食べながらカフェで本読んだり、仕事モードの頭では考えられないことを俯瞰して考えたりする時間にあてています。
SAKURA Home Serviceのミッション
―SAKURA Home Serviceの社会的存在意義について教えてください。
2つあると思っています。
1つ目は、スラムに生まれた子ども達がその環境から抜け出し、負のループを断ち切る手助けをすることです。
弊社で働いている女性たちは「自分はスラム生活のままで人生を終えてもいいが、子ども達には同じ道をたどってほしくない」と強く願って働いてくれいています。
だからこそ、まずは彼女らの子ども達がスラムの貧困から脱却できるように、ビジネスで支援していきたいと思っています。
今後も、それができる会社、事業が大前提です。
続いて2つ目は、スラムの女性たちの社会的地位の向上を手助けすることです。
彼女たちは生まれてからずっと、見下されて生きてきました。そのため、自信を持って、胸を張って生きられなくなっていると感じています。
そんな状態を変えるため、彼女たちが誇りを持って働ける仕事を作り、スラムの貧困から抜け出せるくらいの報酬を得られるように事業、会社を運営していきたいと思っています。
―SAKURA Home Serviceの今後の目標を教えてください。
2022年の3月までに、スタッフを今の約4倍にあたる30人まで増やし、黒字化したいと考えています。
これは現在、拠点を構える首都デリー近接都市グルガオンでの話で、その頃にはデリーにも事業を拡大していたいと思っています。
その中で、サービスを受けるお客さんに聞き取り調査を進め、サービス内容の確立、質の向上も同時に進めたいと思っています。
そのためにも、人材育成システムをアップデートし続けていく必要があると感じています。
また、会社の事業としてか、NGOとしてか、はたまた地元の学校と提携してなのか、その方法はまだわかりませんが、スラムの子ども達向けの教育事業も行いたいと思っています。
弊社のスタッフから常々、スラムの子ども達の通う学校の質が良くないと相談されているので、勉強を教えて学力向上をサポートするなど、出来ることからやっていきたいと思っています。
SAKURA Home Serviceのサービスと体験談
―それでは最後に、御社の事業について詳しく聞かせてください。強みを踏まえたサービス内容について教えてください。
現在は、ハウスクリーニング・サービスを提供しています。
インド人の富裕層、アッパー・ミドル層の個人宅、そしてオフィスも請け負っており、日本でいうダスキンさんやお掃除本舗さんのようなサービス内容を提供しています。
単発がメインではありますが、最近ではご好評いただいており、1カ月に一回などの継続でご依頼いただくことも増えてきました。
弊社の強みとしては、専用洗剤などを使って徹底的に掃除をするので、こびりついた汚れまで落とせることです。
ただの拭き掃除、掃き掃除ではないので、常駐のメイドさんでは落としきれない汚れまで掃除できます。
このほか、サニタイジング・サービスとして、掃除に留まらない除菌・消毒サービスも行っています。
除菌作用のある専用機材を使い、バクテリアまで除去します。
ベッドのマットレスについても、UVライト付きの掃除機を使ってダニまで除去します。
今後は『長持ち』をキーワードに、掃除、除菌に留まらず、そもそも汚れにくい環境を作るサービスの開発も検討中です。
そのためには、薬剤や機材を探すだけでなく、それを扱える人の育成も必要です。
これから市場調査を行い、実現可能性について探っていきたいと思います。
―ありがとうございました!
SAKURA Home Serviceサービス体験談
ここからは、SAKURA Home Serviceさんのハウスクリーニング・サービスを受けた、弊社人材コンサルタントの鍵本の体験談をご紹介します。
―まずは、なぜSAKURA Home Serviceさんのハウスクリーニング・サービスを受けようと思ったのですか?
鍵本:部屋のオーナーから、クリーニング及び部屋の状況をチェックをしてくださいと言われたことがキッカケでした。
私は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本に一時帰国しているのですが、ちょうど帰国から半年が経ち、雨季も通過したタイミングだったので部屋の状況を心配したようです。
そこで業者を探してみると、日本人コミュニティーの中でSAKURA Home Serviceさんを見つけて、連絡しました。
―実際に利用してみて、いかがでしたか?
鍵本:お世辞なしに、ものすごく良かったです!知人にも勧めたいと思っています。
具体的には、まず予約の段階から対応がスピーディーで、私の場合はお問い合わせをした翌日がたまたま空いていたのですが、その日に実施していただけました。
また、当日についても、私が日本にいて立ち会えない中、水流さんが守衛さんなどとも交渉して進めてくれました。とても助かりましたね。
加えて事前ヒアリングでは、自分が大事に扱ってほしい私物についても聞いてくださり、当日の清掃中に配慮してもらえました。今回のように日本人がいない場合には、水流さんが現場からテレビ電話などで報告してくださったので、安心して任せることができました。
とにかく、仕上がりが本当に素晴らしく感動しました。
クリーニング前の写真
―雇っているメイドさんが掃除する場合と比べて、何が違いましたか?
鍵本:今まで取れなかった黒ずみまで落としていただけたことですね。一目でわかるくらい綺麗になりました。
オーナーからも、ここまで綺麗に掃除してもらったことはないと、とても満足なフィードバックをもらいました。
換気扇などの手の届きにくい高い場所、入居時から気になっていた水まわりの汚れまで綺麗にとれていて、驚きました。
次も是非、お願いしたいですね。
このように、インドでは様々な分野で活躍する日本人女性がいます。
社会起業家と聞くと、恐れ多いと感じて自分事に捉えられないかもしれませんが、水流さんも日々、ここインドで奮闘する女性の一人です。
確かに、インドは他国に比べてもハードシップの高い国の1つでしょう。
でも、だからこそ、得られるものも大きいと思っています。
インドでは働く、生活することで、水流さんのようにビジネスパーソンとして成長する機会が沢山あります!
ぜひ、あなたもインドで成長しませんか?私たちが、全力でサポートします!