「インドの治安は悪い」
レイプ、テロ、殺人事件など、インドの犯罪にまつわるニュースや噂を一度は聞いたことがあると思います。インドを訪れる際に、不安要素のひとつとなるのが、このインドの治安ではないでしょうか。特に女性にとって、安全に生活できるかどうかは気になるところです。
しかし、実際にインドで生活している人たちが感じているのは、「インドは言われているほど危なくない」ということです。自分で注意していれば、危険な目に遭うことはまずありません。では、どのようなことに注意して生活すればいいのでしょうか。
そこで今回は、現在インド・グルガオンで生活しているAさん(22歳女性)、Mさん(25歳男性)、Sさん(23歳女性)、Kさん(28歳男性)の4人にお話を伺い、肌感覚でのインドの治安や、インドで生活していく中で発生する可能性があるトラブルなどについて、感じていることや経験談をお聞きしました。4人の話を交えながら、インドではどのようなリスクがあるのか、どうすれば安全に生活できるのかについて紹介していきたいと思います。
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インドの治安は悪くない?
実際にインドで生活してみて、インドの治安についてどう感じていますか?Aさん:私は特に悪いと感じたことはありません。インドに来る前、友人や家族からかなり心配されたけれど、実際に来てみたら普通に生活できているので、正直拍子抜けしているところもあるくらいです。ただ、できるだけ一人で行動しないようにはしています。仕事帰りの買い出しくらいは一人で行きますが。
Mさん:インドは日本人にとって危険と言われますが、2年ほどインドに暮らして、一度も犯罪に遭ったことはありません。タイやフィリピンに半年くらい住んでいたこともありますが、グルガオンのほうが安全で暮らしやすいと感じています。
Sさん:私もグルガオンで生活する中で、危険な目に遭ったことはありません。都市部や観光地では警察機能がしっかりしています。ただ、治安は地域によって違うところもあって、バックパックなどで観光地ではないマイナーな場所に女性1人で行くときには、注意が必要だと思います。
ここまでの3人の話からわかるように、インドの治安は日本で騒がれているほど悪くはないと感じています。自分で注意していれば大、きな犯罪に巻き込まれることは基本的にはないと思います。注意するべきことさえ注意していれば、インドの生活を安全に楽しむことができます。
以下では、インドで起こりうるトラブルの代表例であるぼったくり、詐欺、性犯罪、盗難、交通事故について、傾向と対策を紹介していきます。
インドで起こりうるトラブルの傾向と対策
1.ぼったくり
どんなときにぼったくりに遭いますか?ぼったくられないように気をつけていることは?Sさん:やっぱり一番ぼったくられる確率が高いのは、オート(リキシャ)かな。今はゲストハウスに住んでいるから、オーナーに目的地までの相場を聞いておいて、それを基準にオートの運転手と交渉するようにしています。はじめはふっかけられるけど、相場を踏まえて交渉すればそんなにぼったくられることはないですね。
Mさん:相場を知っているのが一番大切ですよね。あとは、ちょっとしたヒンディー語を話すとか。服を買うときも、値段に納得するまでは買わないのも大事ですね。
Sさん:確かに、10刻みで数字をヒンディー語で言えると、交渉がスムーズな気がします。
おそらく、インドで一番遭う可能性が高いのが、ばったくりの被害。他のアジアの途上国でもよくあることですが、インドに行ったらまず、ぼったくられると考えて間違いありません。ぼったくられる場面としては、リキシャを利用するときと、観光地や地元のマーケットで買い物をするときです。
リキシャに乗るときは、まず値段をふっかけられていると考えましょう。10ルピーのところ50ルピーとか、行きは50ルピーだったのに、帰りは違うドライバーに聞いたら150ルピーとか、よくあります。買い物については、ショッピングモールのお店や、商品に値札がついているお店ではぼったくられませんが、そうでない地元のマーケットでは値切れば半額以下になることもあります。
ぼったくり対策としては、以下2点にご注意ください。
1.相場感を知る
リキシャに乗る前は、事前にインド人の友人がいれば現在地から目的地までの相場感を聞いておきましょう。値段交渉時に、相場感と比べて高いと感じたら他をあたりましょう。他をあたる姿勢を見せると、値段交渉に応じる場合も多々あります。
2.ヒンディー語を少しでも話す
こちらが観光客ではないぞ、インドのことを知っているぞ、という態度を示すと、相手も土地勘がある人と思い、強気な交渉には出て来ません。
2.詐欺
ズバリ、詐欺に遭ったことはありますか?!Mさん:ないですね。普通に生活していたら、まず遭わないです。詐欺に遭うのは観光客が多いんじゃないかな。
Sさん:私も被害に遭ったことはないです。ただ、Connaught Placeは被害が多い気がします。Connaught Placeには政府の観光局があって、その周りによく似たニセの観光局があるんですが、私もバックパッカー時代に、道端のインド人にニセ観光局に連れていかれたことがあります。ただ、地図を見ながら歩いたので、ここ違うなってすぐにわかって外に出たので、被害には遭いませんでした。もちろん、出される飲み物とか食べ物には手をつけませんでしたけど。
詐欺に遭わないための対策はありますか?
Mさん:詐欺のパターンを知っておくことです。何も情報がないとなかなか気づけないけど、どんな詐欺があるのかを知っておけば、気づけるレベルの詐欺が多いですから。
Aさん:インド人に何か言われても、すぐに信じないことかな。日本人ってどうしてもお金持ちと思われるので、騙そうとする人が寄ってきます。なので、海外に行くときには当然のことですが、知らない人をすぐに信用しないことです。それと、事前に情報を集めておくことですね。
長期でインドに生活する日本人は被害に遭わないのに、短期間インドを訪れた観光客がよく被害に遭ってしまうのが、詐欺です。
詐欺に遭う場面としては、観光地がほとんどです。よく聞く話が、観光地でリキシャに乗ったら、嘘をつかれて目的地と違う場所に連れていかれ、ツアーを組まされたり、ホテルを予約されたりしたというもの。また、電車のチケットを買おうとしたら、外国人デスクはこっちだよと言われて連れていかれ、高額なチケットを買わされたということもあるそうです。
詐欺対策としては、以下2点にご注意ください。
1.事前の情報収集
どんな詐欺があるのかを知っておくことが重要です。ある程度詐欺のパターンが頭に入っていれば、「何かおかしい」と気づくことができます。
2.見知らぬインド人を信用しない
わかっていても、不安だったり情報が不足していたりすると、どうしても相手を信じて騙されてしまうことがあります。もちろん、いい人もいるのですが、特に観光地では見知らぬインド人は疑ってかかることが大切です。
3.性犯罪
性犯罪に遭ったこと、または危険だなと感じたことはありますか?Aさん:まったくないです。むしろ、日本での生活のほうが危険を感じることがあったかもしれません。。。というのも、インドでは普段から気をつけて生活していますし、インドで働く場合、会社から社用車が与えられる場合が多いからです。むしろ、日本で飲み会の後に一人で帰るときのほうが、変な人とかたくさんいて危ない気がします。
Sさん:私もないですね。普段働いたり生活したりする中では、「知らない人にはついていかない」といった最低限のことさえ気をつけていれば、危険を感じることはありません。冒頭で、治安は地域にもよるので、田舎に行くときは注意が必要だと言いましたが、田舎に行った時も、ここはリスクのある場所だと理解して注意していたので、何も起きませんでした。
Mさん:外国人を狙った性犯罪もあるけれど、旅行だからって油断してしまう人が被害にあってしまうんじゃないかな。知らない人についていかないとか夜一人で出歩かないとか、普通のことを気をつけていたら起こるはずがないケースばかりだと思います。
Kさん:実は、レイプの発生率でいうと、インドよりタイとか韓国のほうが高いんですよ。インドって人口が多いから、数だけ見たら多く見えてクローズアップされてしまいがちだけど。しかも、そもそも性犯罪を犯すようなインド人は、私たちが普段接するようなビジネスマンではなくて、インドでも最下層の人たちだから、普段の生活では接することがないんですよね。旅行に来て被害に遭うとしても、かなり安易な行動をとってしまった場合だけだと思います。
インドで話題になるのが、レイプ等の性犯罪。不安に思う方も多いのではないでしょうか。しかし、4人の話にもあるように、「最低限のルールさえ守っていれば被害に遭う危険性はほとんどない」といのが、インドで生活する日本人の実感です。
以下3点が性犯罪に遭わないための最低限のルールです。「インドだから気をつけるべき」ということはなく、すべて、海外に滞在する際の共通ルールとなっていますね。
1.女性一人で夜出歩くのを避ける
どうしても出かけなければならないときは、露出の多い格好はやめましょう。また、知り合いに送ってもらうなど、安心できる交通手段を確保しておくといいですね。
2.知らない人を信用しない、ついていかない
インドにいる日本人なので、ナンパされたりインドを案内してあげるなど、声をかけられることは多いです。しかし、そこでついていくのは安易すぎます。
3.一人で列車やバスに乗るのを避ける
一人で列車やバスに乗るときは、あまり安いものは選ばないのも大切です。
4.盗難
盗難に遭ったことはありますか?Kさん:盗難被害には、あったことがないです。話はたまに聞くけど、不注意によるものがほとんどですよね。特に、携帯電話。みんなよく落とすんですよ。落としたら、まず戻ってきません。アイフォンを持ってきてなくすとへこむから、ストラップをつけるとか何か工夫したほうがいいかもしれませんね。
Aさん:私もないですね。電車に乗るときとか、人ごみの中では鞄に気をつけてはいますが、そうすればよっぽどのことがない限り被害に遭うことはないんじゃないかな。
Sさん:私も被害に遭ったことはないです。特別気をつけていることがあるわけではないんですけど。大金を持ち歩かないとか、その程度でしょうか。
盗難にあった、という話はたまに耳にします。インドでの盗難は他国に比べて多いわけではありませんが、気をつけていないと被害に遭うこともあるようです。盗難にあう場面としては、電車やバスなどの乗り物か、人ごみ、または滞在先に泥棒にはいられるケースです。
盗難対策としては、以下3点にご注意ください。
1. 持ち物から目を離さない
海外に行く際には当然のことですが、基本的には荷物の管理をしっかり行いましょう。そうすれば、インドでも盗難には遭いません。携帯電話や財布はポケットから落ちないように、しっかり鞄にしまっておくことも有効ですね。
2.安心できる滞在先を選ぶ
ホテルだったら、格安ホテルには泊まらないようにするといいでしょう。家を借りるなら、門番か大家さんがいる家を選びましょう。
3.知らない人からもらった食べ物や飲み物を口にしない
実際にそういった被害に遭った人の話は聞いたことがありませんが、睡眠薬を飲食物に紛れさせて気を失っているうちに盗難に遭うといったこともあるようですので、注意しましょう。
5.交通事故
交通事故について何か体験談や危険を感じたことはありますか?Mさん:ゴアに旅行に行ったとき、私たちが予約していた前のバスが横転しました。あれは危なかったですね。暗い道なのに大型バスが一般車よりスピード出しているし、やっぱり車は危ないです。日本でもたまに同じような事故はあるので、なんとも言えませんが、確かにインドではリスクが高いと感じています。日本は歩行者優先だけど、インドは車優先社会ですし。ただ、最近は信号も増えてきています。気をつけることとしては、一方通行でも右左を確認することかな。インドでは逆走もよくありますから。
Kさん:あとは、歩道橋をできるだけ使うことですね。私は2回ほど交通事故を目撃したことがあります。ただ、それはインド人が歩道橋があるのに大通りを無理やり渡ろうとした場合でしたね。しかも、インドは保険制度などが整っていないため、ぶつかっても車は止まらないんですよ。そこは知ったうえで車には注意して生活する必要がありますね。
犯罪ではないのですが、インド生活でのリスクでいうと交通事故も挙げられます。インドの交通事故発生数は、世界トップレベルです。インドで最も注意しなければならないのは、実は交通事故かもしれません。
交通事故被害対策としては、以下2点にご注意ください。
1.道路を横断するのはできるだけ避ける
どうしても横断しなけばならない場合は、十分に注意しましょう。車が多い道路では、車が途切れることがないので、車を止めながら間をぬっていくしかありません。逆走車も平気でいますので、やむを得ず、横断せざるを得ないときは、しっかりと左右の安全確認を行いましょう。
2.シートベルトをする
どれだけ自身が注意を払っていても、防げない不慮の事故があります。万が一、事故に巻き込まれた際には、被害を最小限に食い止めるために日ごろからシートベルトを着用し、ドアの手すりを持つ習慣をつけておきましょう。また、なにが起きるか分からないのがインドです。医療保険にはあらかじめ加入しておきましょう。
まとめ
いかがでしたか。以上が、インドで起こりうるトラブルの傾向と対策でした。日本ではマイナスな情報が多くクローズアップされ、「インドはレイプや殺人などの凶悪犯罪が蔓延していて危ない国」というイメージが定着している一方で、インドで生活している日本人は「インドはそれほど危険ではない」と感じており、大きなギャップがあるようです。
ただ、日本で流れている情報だけを頼りに神経質になるのではなく、実際に住んでいる人の声も参考にしてみてください。インドで生活している日本人は、夜に友達と飲みに行ったり、クラブに行ったり、一人でショッピングしたりと日本と同様の生活を送っています。
ここで改めて、トラブルに巻き込まれないために気をつけるべきことをまとめると、
①知らない人を信用しない、ついていかない
②事前に情報を収集する
③夜に一人で出歩かない
④安いバスや列車に一人で乗らない
➄持ち物の管理をしっかりする
⑥安心できる滞在先を選ぶ
です。これらを守っていれば、基本的にはインドだからと言って危ないということはありません。ホスピタリティが高くて親切なインド人もたくさんいます。当たり前の事ではありますが、自分の身は自分で守るという意識を持ち、正しい情報を取り入れながらインド生活を楽しんでくださいね。
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